こんばんは。

「12月の雨」というユーミンの歌がありますが、今月はエルニーニョの影響で冬型が持続しないことや、南岸低気圧の通過の影響で12月らしからぬ大雨が降った日がありました。

そんな折、雲・雨・霧・雪・雷といった雨冠の付く身近な大気現象について、雲物理学を専門とする著者による本が以前から気になっていたので読んでみることにしました。今回はその本のご紹介です。

雲と霧と雨の世界

雲と霧と雨の世界―雨冠の気象の科学〈1〉 (気象ブックス)/菊地 勝弘
¥1,944
Amazon.co.jp

内容は

第Ⅰ部 雲の世界
 第1章 観天望気
 第2章 雲粒の発生
 第3章 雲の特徴
 第4章 最近の雲事情
第Ⅱ部 霧の世界
 第5章 日本における霧研究の歴史
 第6章 暖かい霧
 第7章 冷たい霧
 第8章 過冷却の霧
 第9章 霧の人工消散実験
 第10章 最近の霧事情
第Ⅲ部 雨の世界
 第11章 世界の雨、日本の雨
 第12章 北海道の降雨
 第13章 最近の雨事情

第Ⅰ部では著者の専門である「雲物理学」のこれまでの歴史から気象予報士試験の「降水過程」での内容に進みます。
さらに、著者が層積雲の凹凸や厚さに着目し、その相違が雲の反射率を大きく変化させて気候の影響を及ぼすという研究の紹介と、最近の雲事情として飛行機雲と船舶雲について、オゾンホールの要因となる極成層圏雲の発生からオゾン層の破壊のプロセスも詳しく解説されています。

第Ⅱ部ではまず、暖かい霧として移流霧と放射霧との特徴の違い、冷たい霧としてダイヤモンドダストを取り上げています。過冷却の霧では、樹霜・樹氷・粗氷・着氷の特徴と事例を取り上げています。
霧の人工消散の研究や最近の霧事情として温排水池からの霧や雪捨て場からの霧につぃての話は個人的に知らなかったので面白かったです。

第Ⅲ部では雨滴の落下中の形状や大きさの計測方法、また最近明らかになった、直径7mm
を超える巨大雨滴の成因、また、北海道の降雨では、上層の雲からの種まきによって下層の雲からの降雨を増幅させるメカニズム、「スィーダー・フィーダー・メカニズム」が紹介されています。
さらに、最近の雨事情として都市型豪雨、いわゆるゲリラ豪雨と、白神山地のおける酸性雨の実態を取り上げています。

最初の見開きの部分の写真はカラーであるものの、本文中の写真もカラーで見たかったなぁという感じでしたが、降水にまつわる知識を深めるのに最適と思います。気象予報士試験の学習にも役立つと思います。

では。