今日も映画の話題ざーます。
リドリー・スコット監督の『プロメテウス』もDVDになったので観てみました。
彼の出世作は、『エイリアン』。もー、数え切れないほどの模倣作を生み出した、SFホラーの名作中の名作です。
さらに彼の名声を決定的にしたのが、フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を映画化した『ブレードランナー』。
SF映画好きで、『ブレードランナー』を知らない人はいないでしょうねえ。こちらは、まさに名作中の名作。その後のSF映画の世界観に、ブレードランナーが与えた影響は計り知れませんよ。スタンリー・キューブリックが、アーサー・C・クラークの原作を映画化した『2001年宇宙の旅』と並び称される傑作です。
という監督ですから、わたくしも、超がつくほど大好きなんですが……
残念ながら、作る映画、作る映画、すべてが傑作とはいきません。『ブレードランナー』以降は、『ブラック・レイン』がヒットしましたけど、しばらく低迷して、そのあと『グラディエーター』、と『ハンニバル』のヒットで復活!
でも……
すごーく、個人的な感想を言わせていただきますと、『グラディエーター』も『ハンニバル』も、わたくし的には、琴線に触れなかったんですよねえ。「うまい監督」であることは間違いないんだけど、「すごい監督!」と思えるほどの作品ではなかった。
なんか、ずいぶん前置きが長いですが、そろそろ本題の『プロメテウス』について。
じつは、映画館で予告編を見たとき、「あちゃー、とうとうリドリー・スコットも、やっちまったか」と思ったんです。
プロメテウスとは、ご存じの通りギリシアの神さまです。プロメテウスは、人間に「火」を与えて、そこから文明が生まれるようにしたため、処刑されてしまう神さまなんです。
この名をタイトルにして、しかも予告編では、いかにも「人類の起源はなにか?」と問いかけているように演出されていたので(あくまでも予告編がですよ)、ぼくはてっきり、リドリー・スコットも、「宇宙に神さま」を見ちゃうのかなと思ったんです。
これまた、超個人的見解ですが、一神教的「神」の概念を、宇宙に投影するSF映画って、嫌いなんですよ。だから、『2001年宇宙の旅』も、そんなに好きじゃない。スタンリー・キューブリックが原作を改悪して(ぼくは改悪と思っている)、なんとなく「神さま風味」のラストにしちゃったから。
真田広之が出てたんで、イギリス映画の『サンシャイン 2057』(2007年作)も観たんですが、アレなんかもう、もろ神さまが宇宙にいる感じで(しかも太陽に!)、ガックリしたもんです。
というくらい、「宇宙に神さま♪」映画が嫌いなんで、『プロメテウス』も、映画館に行く気にはまったくなれず、DVDになってはじめて見たわけですが……
すいません、ごめんなさい!
わたくしが、全面的に間違っておりました!
大嫌いな「宇宙に神さま」なんて要素は、ほぼ皆無! また『2001年宇宙の旅』のような、哲学的要素もなし!
完全に、完ぺきな、エンターテイメント映画でした。
いやー、リドリー・スコット大先生を、一瞬でも疑った自分が恥ずかしい。
が!
じゃあ、おもしろかったのかと聞かれたら……
ノーコメント(苦笑)。
なにしろ、上から目線で批評がましいことを書けるような監督じゃないんで、と言えば、お察しいただけるかと(苦笑)。
ただ、ひとつだけ言えるのは、『エイリアン』を撮った監督だからこそ、許される映画ではありますな。ほかの人がやったら……いや、ほかの人が撮ることは許されない映画でしょう。
あ、それともう一つだけ!
リドリー・スコットといえば、独特な映像表現(暗くてスモークっぽい絵とか)でもカリスマ的人気を博した監督ですが、いまでは、そういった独特な雰囲気はほとんど影を潜めています。
その代わり、ぼくがいま、もっとも好きな監督であるJJ・エイブラムスの好む絵柄(光源がレンズに出すフレアを。わざと入れる)を、リドリー・スコットも多用してました。
リドリー・スコットも、JJ・エイブラムスが気に入っているに違いない!
そう思ったら(ぼくが思っただけですが)、ちょいと、うれしくなりました。