今年の家電 | TERUのブログ

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つれづれに

やや旧聞なんですが、先週ラスベガスで「International CES」が開催されていました。CESというのは、コンシューマー・エレクトロニクス・ショーの略です。要するに、ぼくらがふつうに買う家電の見本市。

わたくし、家電好きなんで、毎年CESの記事を読むのが楽しみなんですよ。各メーカーが、その年に出す新製品から、まだ発売は先だけど、こんな製品を研究していますというデモンストレーションまで、さまざまな記事が、ネットや雑誌を賑わせます。

で、ですね。今年のCESの記事(ネットに出ている分)を、いくつか読んでいて思ったんですが、やはり韓国のサムソンが強いって雰囲気です。

サムスンは、ついにiPhoneを抜いて、世界一の販売数になったスマートフォンとテレビを中心とした家電との連携を本格化させるようですね。

きのう高級車の話を書きましたけど、車と違って家電は「高級化」が難しい。そもそも家電と高級はなじみがよろしくない。うちでしか使わない洗濯機が「高級」でも、だれかに見せびらかして自慢できませんもんね。それに、たとえ日本がなにか「付加価値」を開発したって、すぐに追いつかれて汎用品になってしまう。

ところが!

そのサムソンが、かつてのソニーのように、家電の「ブランド」として認知されているそうですよ。サムソンの製品を見ていて思うのは、デザインがいいってことです。Apple的なミニマルデザインがうまい。聞くところによると、世界中から優秀なデザイナーをかき集めてるらしいです。

わたくし思うのですが、家電は、もう「デザイン勝負」しかないと思うんですよ。日本人は家電に「機能」は求めても、「見てくれ」は、わりとどうでもいい人種だから、遅れを取ってしまいましたけど、やっと日本の家電メーカーもデザインの重要性に気がついて、ここ2,3年はテレビのデザインが、だいぶカッコよくなってきましたな。

この流れを、今後、冷蔵庫とか洗濯機とか、電子レンジとか、とにかく家電と呼ばれるすべてに広げていかないといけません。イタリアやフランスで活躍する優秀なデザイナーを、1人2人なんて単位じゃなくて、何百人も、ごっそり雇ったらどーでしょうね。

話をCESに戻しますが、今年、日本メーカーがこぞって訴求してたのは「4K」です。

「4K」とは、テレビの規格のことで、いまのハイビジョンの4倍の画素数を誇る高精細なテレビのことです。(ちなみに、いまのハイビジョンは「2K」と呼ばれるようになりました)

テレビは、動画を映す「モニター」ですから、高精細になっていくのは、当然と言える正常進化です。ですから、そこはもう、技術の日本としてどんどんがんばっていただきたいんですが……

残念ながら、「技術」は、すぐに追いつかれちゃうんですよ。20年くらい前なら、他国はまだ5年くらい追いつけないなんて高を括っていられたけど、いまでは1年どころか半年も優位は保てないかも。

つまり「4K」は、作れて当たり前。そんなもの「訴求」にはならないのです。あっという間に、付加価値ですらなくなるでしょう。いまハイビジョン(2K)のテレビが当たり前で、付加価値でもなんでもないのと同じですよ。

で、なにが言いたいかというと、今年のCESで、日本のメーカーが「4K」を、テレビの未来みたいに言ってるのに、ガッカリしちゃったんです。これだけテレビが大苦戦しているのに、発想がまったく変わっていない。相変わらず、技術一辺倒。技術さえあればなんとかなると思っているのが悲しい。

何度も言いますが、技術はすぐに追いつかれます。そもそも、日本のメーカーの技術的優位は、もうほとんどないし、あったとしても、それが「訴求」にはならないってことですよね。だからテレビ事業が大苦戦している。

そんなこと、マーケティングに大金払っている家電メーカーの社長がわからないはずがないのに、なんでいまでも、「技術」ばかり売りにしようとするのか、ぼくには理解できない。

「4K」なんてね、ハッキリ言って、まだしばらく売れないし、売れたと思ったときには汎用品になっているはずです。

極論を申し上げますと、これからのテレビは、スイッチが入っていない状態でも、そのデザインを見ただけで欲しくなるようなのじゃないとダメですよ。

iPhoneは、ただの「板」なのに、どういうわけか美しいじゃないですか。テレビだって、まだまだデザインする余地はあると思います。

もちろん、スイッチを入れてみたら、写る絵も美しくなくちゃダメですけどね。そのために有機ELだろうが、4Kだろうが、モスアイパネルだろうが、あらゆる技術を詰め込んで、世界最高を目指していただきたい。

ただし、それがプライオリティのトップではいけない。

え? パネルの性能ですか? うちのテレビは技術的に世界で最も進んでいますから、どうぞご安心ください。詳しくはカタログに小さく書いてありますから、お読みになりたければどーぞ。

なんて言うくらいじゃなきゃ高級家電なんて作れませんよ。

ところが実際は、主戦場であるアメリカの家電量販店で、日本製のテレビは、安売りをしないと売れないそうです。サムソンは、値段を下げなくても売れるのに(涙)。

もっともっと「センス」を磨かないと、日本のテレビはヤバイですよ。マジで。


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