〈リベラル〉に潜むネオリベへの誘惑 | Ternod Official blog

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哲学思想研究、文人画。 反緊縮行動(Anti-Austerity Action)〔生ー政治(Bio-politique)に抵抗する自律労働者(Autonomia Operaia)〕。 ブラック・ミュージックをこよなく愛す。レコード/CD店、古本屋、美術館などで出没することが多いです。

 

森友・家計学園が騒がれて以来、望月衣塑子なる人物の発言や講演案内をよく目にするようになりました。

この望月衣塑子とは、東京新聞社会部記者で、安倍政権批判などで「リベラル左派」と呼ばれる人たちより「代弁者」のごとく持ち上げられている論客でもあります。

 

だが、果たして望月は、本当に「リベラル左派」にとって味方となりうる人物なのでしょうか?

さて、この望月による経済に対する発言を見てみましょう。

 

https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1037862561486524416

 

望月によれば、日銀の量的緩和(政府の国債発行を担保に紙幣を増刷し、日銀当座預金に積み上げて真似たリーベースを増やす政策)による円安誘導と、その下で輸出主導型経済である日本経済が回り、インバウンド消費(訪日外国人観光客による消費)による消費効果、そして元のツイートにみられるような日銀による企業株式の買い支えによる株価の安定的上昇は、すべて「官製相場」であり、「健全な市場原理が機能しなくなっている」そうです。

いわゆるリベラル左派の「アベノミクス批判」をそのまま踏襲したような批判ですね。

 

だが日銀による株式の買い支えにより、株価暴落に対する緩衝になり、景気と雇用の安定化が見込めます。

リーマンショック以降も、株価の暴落は2016年に英国での国民投票によってEU離脱が多数を占めたときに起きています。また今年3月にはアメリカより株価大暴落が起きています。

だが中央銀行が株式を買い支えていれば、市場の急激の動きが緩和されることが期待できます。

次に、社会主義者的ないし社会民主主義的な考えを持つ者であれば、企業の国有化ないし公有化(労働者自主管理を含む)をすすめる手段として、政府による企業の接収ではなく、中央銀行が刷った紙幣(つまり「無」から創造したマネー)による株式購入という方法も今後は検討に値します。

 

だが「官製相場」により「健全な市場原理が機能しなくなっている」という望月の立場は、国家や中央銀行による市場介入は最小限度に抑え、できるだけ自由放任に任せるというもので、いわゆる自由主義的な考え方にあるといえます。

そして、市場の自由を「自然状態」とみなすのが旧来的な自由主義者であり、「官製相場」を止めさせて自由放任を「創り出そう」とするのが新自由主義者です。

市場原理主義を「上部構造」からイデオロギー的な運動としてすすめ、人々にその価値を内面化させて支配従属させるのが新自由主義です。

望月の立場は、当然、新自由主義者となります。

 

これだけで望月を新自由主義と非難するのは「こじつけ」だと思う方もおられるかもしれません。

では、次の発言を見てみましょう。

 

https://twitter.com/isoko_mochizuki/status/993701142088450048

 

http://www.shueisha-int.co.jp/blog/?p=12672

 

望月はこの間、『アベノミクスによろしく』という本を刊行した弁護士・明石順平との対談を行い、Twitterでもしきりに明石順平の言動を拡散しています。

 

 

https://togetter.com/li/1179655

 

だが明石順平によるアベノミクス批判とは、国債発行量の増大による財政破たん説であり、その対応として大幅な消費税増税と超緊縮政策を唱えるという、人々を貧困と自殺に追いやる最悪の言動にほかなりません。

おそらく望月は、自国通貨建ての国債とその中央銀行による買い支えという通貨政策での対応が可能な行為に対して「国の借金の増大」による「財政破たん」という俗流のプロパガンダを信じている上に、安倍政権批判がしたいがために明石順平のアベノミクス批判に飛びついているともいえます。

だが、以前は明石順平の発言を拡散していただけであったのに対して、今回は自分で書いてツイートをしたわけですから、ついに自分自身で明確にその立場性を明確にしたともいえます。

 

なぜ望月は、このようなリベラル左派にあるまじき経済観を持っているのでしょうか?
ひとつには、財界による広告収入や官僚からのリークによって成り立っているブルジョア・マスコミの記者の依って立つ階級的立場をあらわす発言ともいえそうです。

もうひとつには、望月の経歴を見ると納得が行きます。

 

wikipediaには、このように書かれています。

 

「生誕 1975年」

「東京都生まれ。父親は記者、母親は演劇関係者の家庭に生まれる。東京学芸大学附属大泉小学校、中学校卒業。東京学芸大学附属高等学校出身。 慶應義塾大学法学部卒業後、中日新聞社に入社。東京本社へ配属。 千葉支局、横浜支局を経て社会部で東京地方検察庁特別捜査部を担当。その後東京地方裁判所、東京高等裁判所を担当、経済部などを経て、2017年10月現在社会部遊軍。2人目の育児休業後の2014年4月から武器輸出や軍学共同の取材を開始。このテーマで講演活動も続けている。日本における武器輸出の拡大や軍事研究費の増加について報じた「武器輸出及び大学における軍事研究に関する一連の報道」が「第23回平和・協同ジャーナリスト基金賞」の奨励賞に選ばれた」。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9B%E6%9C%88%E8%A1%A3%E5%A1%91%E5%AD%90

 

まず1975年生まれということは、大学卒業年は1997年です。

この時期はデフレ下にあり、橋本龍太郎政権の下での消費税5%増税と行政改革、公共事業の削減により景気の後退がはじまり、企業ではリストラや就職難が進行していた時期です。翌98年からはデフレ・スパイラルが進行し、日銀は99年より初めてゼロ金利政策を行います。

そんな時期にあって信じられないほどのエリート街道を歩んで来たといえます。

 

現在は関西在住の私ですが、東京で生まれ育っていますので、望月の生育環境はある程度は推測できます。

東京23区で生まれ育ち、国立の学校に進み慶応義塾大学に進学するような人は、富裕層エリートといっても過言ではないでしょう。

そしてジャーナリストとして軍縮や平和問題をメインに活動する人は、富裕層出身あるいはエリート意識の高い人物が多いです。

少なくとも、雨宮処凛の『生きさせろ!』に取り上げられるような就労環境や生活をする人々とは、まったくの別世界の住人といえます。

 

すなわち望月の経済観には、普通に働いている中間労働者やそれより下の非正規雇用や下層労働者、社会保障に頼って生活している人たちのリアルな目線はなく、没階級的にして反労働者的とすらいえます。

そして望月および望月を持ち上げるような「リベラル」に対しては、満腔の怒りをこめて彼らを弾劾し、あらゆる機会をとらえて打撃の放火を集中し、階級的報復をすべきであると断言します。