防災とインフラ整備のため公共事業を!—大阪北部地震・西日本豪雨に寄せて— | Ternod Official blog

Ternod Official blog

哲学思想研究、文人画。 反緊縮行動(Anti-Austerity Action)〔生ー政治(Bio-politique)に抵抗する自律労働者(Autonomia Operaia)〕。 ブラック・ミュージックをこよなく愛す。レコード/CD店、古本屋、美術館などで出没することが多いです。


画像は神戸市東灘区の住吉川沿いにある谷崎潤一郎邸「倚松庵(いしょうあん)」です。

 

西日本豪雨、死者100人に 2万人超が避難

『日本経済新聞』2018/7/8 17:42 (2018/7/9 11:54更新)

 

 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32748650Y8A700C1CC1000/?n_cid=NMAIL007

 

6月の大阪北部地震に続いて、7月6日から7日にかけて、西日本から東日本の日本海側にかけて、記録的な豪雨に見舞われました。

河川の氾濫による洪水や浸水により、死者100名、避難生活者が2万人を超える事態となっています。

このたびの水害の犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々の一日も早い生活の回復を願っております。

 

私が住んでいる兵庫県東部は、武庫川水域に位置しており、武庫川の増水につねに注意していました。

幸いなことに、武庫川やその他の流入河川とも氾濫は避けられました。

 

歴史的には、谷崎潤一郎の長編小説『細雪(ささめゆき)』でも描かれた、昭和初期の芦屋川・住吉川の氾濫をはじめ、戦後も武庫川の洪水などが起きています。

そして明治末期より、兵庫県の神戸から阪神間にある川沿いは、砂防堰堤による治水管理がなされています。

そうした人工的な堰堤や護岸だけでなく、江戸時代より資材として伐採されて禿げ山となっていた山々の植林をすすめ、森林による保水にもつとめてきています。

 

つまり、近代の技術力と古くからの自然を生かすことの双方を活用しながらの防災がなされてきたということです。

 

ここ20年近くもの間、「日本は土建屋国家」「公共事業は利権による無駄遣い」という批判が広く流布され、「脱ダム」をうたう政治家が登場してきました。そして公共事業費の削減を「改革」ともてはやす風潮がまん延し、日本経済とくに地方経済を深刻なまで停滞させてきました。

 

そうした公共事業費の削減は治水や防災にも及び、砂防堰堤の工事が遅れに遅れて未完成のまま、スーパー堤防は事業仕分けによって中止に追い込まれています。

 

がれきの上や水上でも走行できる救援救助活動用の「レッドサラマンダー」という車両が開発されていますが、全国でたった1台しかないとのことです。

 

1台しかないということは、レッドサラマンダーを投入できる災害現場は1カ所に限られます。そして、もし救援活動中にその車両が故障したら、修理が終わるまで同レベルの代替車両を投入できないということです。

新自由主義的な緊縮財政の下、私たちの生活や生命にかかわる問題までが「費用対効果」によって被害想定額と建設コストで比べられる「政治」が続いて来ています。

 

それは防災対策だけではありません。

たとえば日本の整備新幹線の建設は、すでに全国新幹線網が発達したフランスやドイツに大きく遅れをとっており、高速道路も暫定一車線で対面通行(中央分離帯が設置されていない)という、高速道路とは呼びがたい自動車道が全体の25%を占めています。

私たちの生活は、緊縮財政の下で不便なインフラで我慢させられていると言っても良いと思います。

 

私たちの生活と生存にとって、公共事業はなくてはならないと思います。

もちろん、人口過疎地域に多車線道路を建設するなど、中には無駄なものもあります。

だがメディアや「改革派」政治家らが叫ぶ「公共事業悪玉論」は、必要な公共事業までも「無駄なもの」とする新自由主義のプロパガンダであり、そうしたプロパガンダの結果として、人々が緊縮財政を「当然のこと」として受け入れられている現状があります。

 

もうひとつ重要な問題を指摘しておきます。

災害からの復興の財源は、復興債と建設国債を発行して行うのが筋です。

2011年に起きた東日本大震災では、政府は「復興特別税」なるものを人々に対して課税してきました。

具体的には所得税、法人税、住民税それぞれに上乗せして課税しています。

 

だが災害により経済的な打撃を受け、人々の心も萎縮しているところへ、「復興特別税」などといって税を徴収することは、災害復興や人々の生活再建の足を引っ張る愚策でしかありません。

しかも復興特別税が打ち上げられ、国会で通った時はデフレ期でした。

デフレ下でこのような増税を図るなど、愚策中の愚策といわざるを得ません。

 

災害復興の財源を、このような復興特別税の増税や期間延長という方法で行われることはあってはならないと思います。