サウザのマスターディスティラーフェルナンドさんにアテンドいただき、特別に蒸留所のスペシャルツアーをしていただきました。
何度もサウザ蒸留所に通っていますが、彼の案内で見学するのは初めて
一般公開していないボトリング設備や、環境問題への取り組みとして日本製のMIURAのナチュラルガスボイラーを使っているため、そちらも特別に見せていただきました。

通常使われているボイラーは大きすぎるため、エネルギーの無駄遣いにならないよう、小型のボイラーを必要な数だけ使うように調整しているそうです。
毎日、その日のスタッフが集まり1日のオペレーションをきちんと確認してから作業をスタートします。
毎日、その日のスタッフが集まり1日のオペレーションをきちんと確認してから作業をスタートします。
ちなみに、フェルナンドさんは鼻で嗅いだ匂いだけで全ての工程がきちんとすすめられているか分かるそうです。
万が一機械が汚れていたり、不純物が入っていたら、いつもと違う香りがするので、全ての作業を止めてチェックをして作り直しをします。
毎日蒸留所に通って、香りを嗅いで、通常通りサウザブランドつくられているか確認をする日々を何年も続けているそうで、この日も至る場所で香りのチェックをしていました。
サウザの製法は、アガベを加熱せずにディフューザーを使って生のままのアガベジュースを高圧スチームにより絞り出しているのが特徴ですが、生アガベのフレッシュな味わいを残すことの他に大事なポイントがあります。
ディフューザーを使用する事によって、サウザのこだわりであるテキーラを作る過程の全ての材料をリサイクルするために、ガスや水を大量に使わないことが可能です。
テキーラで使う水をも全てテキーラ火山で濾過された自然なものを使っています。
衛生面でも、細菌や不純物が混入することも防げるため、安全な商品を提供できるメリットもあります。
また、手作業での重労働が社員の負担にならないよう、ハンドクラフトではなくマインドクラフトとして、年齢や体力に関係なく能力があれば出来る仕事にすることを重要視しています。
決して生産効率だけを求めたのではなく、労働環境をよくするために技術革新をし、社員を教育し、長く快適に働ける環境をつくることに力を入れています。
社員の研修ルームも特別にご案内いただきましたが、機械のオペレーションだけでなく、修理技術までしっかり勉強できる環境になっています。
もの凄く大きな蒸留所ですが、スタッフの配置は全部で6名
世界中に輸出されているサウザが、なんと6名で作られているそうで驚きました。

本当に優秀なスタッフが働いているのだと思います。
フェルナンドさんは、今回の考え方を日本のものづくりの精神から学び参考にしているとのことで、メキシコで日本企業が行うセミナーに足繁く通って勉強を続けているそうです。
「やってみなはれ」の言葉の通り、様々なチャレンジを続けています。
本当に素晴らしい

他と違う製法だけがクローズアップされがちですが、なぜこの製法をしているのか、その裏にあるサウザの企業理念や思いを知ることは本当に大切で、目から鱗の体験
今回の経験で私自身のブランドに対するイメージもまた大きく変わりました。

メキシコで働きやすい会社として、毎年選ばれているのも納得。
全てはテキーラと従業員に対する愛からきています。
テキーラの製法は、手間暇かけて人の手で作られる魅力もありますが、沢山の人に飲んでもらうためには技術革新も大切だし、テキーラの知識を持った優秀な働き手もたしかに必要なのです。
歳をとったり、怪我や病気で働けなくなったら…
体力勝負でいつまで仕事が続けられるか…
そんな不安はテキーラビジネスに関係なく、誰にでもついてくる問題。
そんな時、サウザみたいな会社があれば、働きながら知識をつけ、様々な技術を学び・経験し、実績が知恵となり長く働ける環境となるのは素晴らしい事。
テキーラに詳しい方ほど、アガベらしい味わいを好む傾向があり、ディフューザーを使った大量生産のテキーラを別物扱いしてしまう場合も多いのですが、少しだけ見方を変えたらどうしよう?
少量生産のテキーラも、大量生産のテキーラも、どちらも同じように人の思いが込められています。
そして、大量生産する技術があるからこそ、テキーラが世界中に広まったのも事実。
また製造過程以外のリサイクル設備にも投資し、テキーラ村ではサウザ社ともう1社しかないテキーラの製造過程ででた排水を全て肥料に変える技術を研究し、2社で協力しながら環境問題への取り組みも行なっています。
どんなに時間と人の手をかけても、最終的に環境破壊や汚染に繋がってしまったら、テキーラ産業は衰退してしまいます。
だからこそ、大手の力は必要なのだと思います。
テキーラは優越をつける飲み物ではなく、楽しみ、仲間とシェアするお酒。
製法の違いは個性!もちろん味の好みはあるので、無理に飲む必要はありません。
好きなブランドを好きな飲み方で、自由に楽しみましょう

そして、そのブランドの背景を知ることで、製法以外の魅力に気付けるかもしれません。
改めて、サウザをじっくり味わってみたくなりました。