世界遺産のアガベ畑を眺めながらテキーラを味わう!11月のツアーでフォルタレサ蒸留所を再訪問 | 目時裕美ブログ「Happy Drink Life」

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レポートに時間がかかってしまいましたが11月に開催した第2回目のメキシコ・テキーラ蒸留所巡りツアーでフォルタレサの蒸留所を再訪問しました。

昨年8月にオーナーのギレルモ氏が来日した際に約束をして、無事メキシコで再会をすることができました

 

今回は、蒸留所レポートの前に、フォルタレサの歴史について説明したいと思います。

 

 

2002年に誕生したブランド「フォルタレサ」の創業者ギレルモ・エリクソン・サウザ氏は、テキーラの名門一家サウザ家の5代目になります。

 

サウザ家の歴史は、ギレルモ氏の高祖父にあたるドン・セノビオ・サウザ氏が1873年にテキーラをつくり始めたことからスタートします。

 

創業者のドン・セノビオ・サウザは「テキーラの父」と呼ばれ、メキシコの地酒だったアガベの蒸留酒のラベルに初めて「テキーラ」と記し、アメリカのニューメキシコ州で開催された酒類コンペティションに出品した事で、サウザの創業年が初めてテキーラが「テキーラ」として他国に渡った記念の年となりました。

 

2代目のドン・エラディオ・サウザは元々樽で売られていたテキーラを瓶詰めして販売を拡大し、ヨーロッパへの輸入を開始しました。続いて、当時世界各地でテキーラの模造品がつくられていた中、品質やイメージを守るために3代目のドン・フランシスコ・ファビエル・サウザが立ち上がり、1974年にメキシコ政府へ働きかけてテキーラの原産地呼称制を成立させ、厳しい規定に即したものだけが「テキーラ」を名乗ることができるようになりました。

 

その後、サウザ家は1976年に事業を他企業に売却し、一族はテキーラづくりをやめてしまいます。


幼いころに、お祖父さんが病気で事業を続けられなくなり土地や蒸溜所を手放す様子を見ていたギレルモ氏は、「サウザ」のテキーラづくりにに対する未練や思いはありつつも、アメリカで全く別の仕事につき、メキシコを離れていた時期がありました。

 

その後どうしても、祖父の思いやテキーラへの情熱が忘れられずにメキシコに戻ったギレルモ氏は、1999年についにもう一度テキーラをつくり始める事になります。

 

1968年に操業を停止してそのままになっていた、約100年前に建てられた古くて小さなサウザ家が所有していた蒸留所を見つけ、その場所が祖父が自分に残してくれたプレゼントだという思いを込めて、蒸留所の再建をはじめます。

 

ただ、建物や設備も非常に古くて、テキーラの蒸留所として稼働させるまでにはかなりの困難があり、そんな彼を周りの人たちはクレイジーだと冷たい目で見ていたようです。有名人だったから、余計に目立っていたのかもしれません

 

それでもあきらめずに、ついに2002年にフォルタレサ蒸溜所は新しく生まれ変わり、約30年ぶりにサウザ家によるテキーラつくりが再スタートしました。

ギレルモさんの不屈の精神=フォルタレサが、そのままブランド名にもなっています。

元々、メキシコ国内に流通するものには祖父たちへの尊敬と愛情をこめて「ロス・アブエロス(おじいさんたち)」という名前が付けられたのですが、とある国のお酒の名前とかぶってしまい、残念ながら海外で販売することができずに輸出するものは「フォルタレサ」となっています。

 

以前、まだテキーラのことをあまり知らない時に、NHK番組の「世界遺産」でギレルモ氏がインタビューで「ロス・アブエロス」への情熱を語っていて、いつかこの人に会ってみたい。そう思っていた人が、今は一緒にテキーラのプロモーションをしているなんて、本当に不思議な縁です

 

こうして、蒸留所を再建したのですが、尊敬する祖父達と同じ伝統的な製法を使ってテキーラをつくることにこだわりました。

 

 

 

 

 

 

蒸留所を見学すると良く分かりますが、ボトルの製造以外の全ての工程をこの小さな蒸留所内で行っています。

創業時から使っていた古いボイラーで、アガベをレンガ製のオーブンで加熱し、タオナと呼ばれる石臼でゆっくりアガベを搾汁。
その後、繊維の部分はメタノールのもとになるので、アガベジュースの部分だけを木桶の発酵槽で発酵し、かなりの手間をかけます。

銅製の古い蒸留器も小さく、またテキーラ本来の味を残すためほとんど加水しないでじっくり蒸留することで、2回目の蒸留後の度数を調整します。

 

最近やっと設備投資をはじめて、オーブンや蒸留器、樽の貯蔵庫を拡大して生産数を増やしています。

海外でも注目のブランドなので、生産が間に合わないのかもしれません。

 

今回、はじめてボトルリング工場の中で、ボトルキャップをつくるところや、ボトルにシルクスクリーンで「ロス・アブエロス」の版をおす設備も見せていただきました。

上からフォルタレサのラベルを貼ってしまうのですが、ラベルをはがすとボトルには「ロス・アブエロス」としっかり描かれています。

 

 

 

 

 

 

ボトリングも、かなり原始的なやり方で1本1本手作業で行われていて、本当に驚くほど丁寧に時間をかけてつくられています。

 

 

 

蒸留所の裏の高台にある展望台にも連れていっていただき、テキーラ村や世界遺産のアガベ畑を見渡せる場所で、フォルタレサでサルー一生の思い出に残る、素晴らしい経験になりました。

 

 

 

蒸留所見学のあとは、洞窟になっているテイスティングルームで、ギレルモ氏のセミナーとテイスティングレッスンを受けて、蒸留所の敷地内になるレイクサイドでランチを楽しみました。

 

ギレルモさん本人から話が聞けるのは、本当に貴重な機会。
 

 

ちなみに、ギレルモさんはストリートドッグを保護して、蒸留所の敷地内で10匹以上育てているのですが、今回初めての連れて来てくれた、3代目のラブラドール(生後3カ月)のモーリーと初対面。

 

先住犬のルーファスと。

 

歴代の愛犬のラブラドール、チョコラテとサンディに続いていつかラベルになるかも?!なんて話してました。2代目のサンディに似ていて、本当に可愛い❤️

 

試作品のフレンチオーク樽熟成のフォルタレサも特別に出していただき、アガベ畑に囲まれた素敵な場所で、食事とテキーラをゆっくり堪能。本当に贅沢な時間になりました。

 

 

 

またメキシコ・日本での再会を誓いあい、夢のような蒸留所での時間は終了。

家族の愛と、テキーラへの情熱が込められたフォルタレサ。

 

これからも、大切にゆっくり味わって飲みたいテキーラです

 

尚、5月14日から開催する「第3回目のメキシコ・テキーラ蒸留所巡りツアー」でもフォルタレサ蒸留所を訪問します!
2月上旬に告知を開始しますので、ご興味のある方は楽しみにお待ちください。