貸切バスで巡るアガベ畑とサウザ蒸留所ツアー | 目時裕美ブログ「Happy Drink Life」

目時裕美ブログ「Happy Drink Life」

海外・日本のお酒に関する情報、主催するイベントやセミナーなどをご紹介。
国内外のおすすめのBARや、レストラン、リカーショップもアップしていきます。

第2回メキシコ🇲🇽テキーラ蒸留所巡りツアー3日目は、参加者の皆さんと貸切バスに乗り込みサウザのアガベ畑と蒸留所ツアーへ。

サウザ蒸留所は、2016年からテキーラ村に行く度に通っていますが、外観のデザインは毎年変わっていて、今回もリニューアルされていました。

以前は一般公開していなかったサウザ蒸留所は、現在数種類のツアーが用意され、テキーラ村の人気の観光地となっています。

今回は、サントリーさんを通じて希望のツアーを組んで事前予約させていただき、蒸留所のレセプションで受付をしてツアー代を支払い、バス🚌で観光用に数百種類のアガベ畑が植えられた通称ボタニカルガーデンに向かいます。


1873年創業のサウザは、テキーラ業界の企業で唯一Great Place to Work(R)の「働きがいがある会社」ランキングでメキシコ国内で2016年に第9位、2018年にはなんと第2位に選ばれています。

 

サウザの蒸留所長フェルナンド・アヴィラ氏によると、テキーラの製造を行ううえで、何よりも「品質」を優先していると言います。商品の品質こそがお客様の信頼につながると信じ、工場で働く全ての社員に「ものづくり精神」を浸透させることを大切にしています。品質第一の生産を徹底しつつ、さらに、自然環境への配慮や労働現場の安全性の確保など、生産に関わる全てにおいて、常に「改善」も意識しているそうです


アガベ畑に到着すると、テキーラの原材料のブルーアガベと、それ以外のアガベの違いや、普段は伸びる前にカットされてしまうキオーテやアガベの花・種などを見ながら、アガベの栽培方法について説明を聞き、ヒマドールによる収穫のデモンストレーションを見学。


アガベの芯の部分のコゴージョも見せていただきました。パキッと割ると、細かい繊維がいっぱい。

テキーラを作る際は、メタノールや苦味のもとになるため、取り除かれる場合が多いです。

アガベ畑の見学が終わると、蒸留所へ戻り製造工程の説明へ。


蒸留所内は、ISOで管理されているため、まずは安全のためヘルメットとベストを着用します。

ちなみに、蒸留所内は撮影が一切禁止されているため、画像はありません。

唯一撮影ができる敷地内の中庭には、サウザがテキーラ造りを始めた頃のストーリーが描かれています。左側が製法、右側はテキーラを飲んでからの人生について。
幸せからはじまり、徐々に悲しみや狂気、矛盾などが表現されています。
美味しいテキーラも、飲み過ぎは良くないということ

アガベの上に鶏が乗っていますが、創業者のドン・セノビオ・サウザ氏が鶏が好きだったことや、闘鶏の鶏なので、力強さや繁栄の象徴としてサウザ蒸留所のいたるところに鶏が描かれているのも特徴。サウザ家のストーリーを聞いた後はテキーラの製造過程に入ります。

まずは樽について。ケンタッキーのアメリカンオークの中古樽を使用していて、樽の内側をチャー(焼く作業)していますが、この焼き加減がブランドによって違うのが特徴。

様々なブランドの中で、オルニートスのレポサドが一番トーストが浅く、レポサド、アネホへとより焼き加減が深くなり、真っ黒に焼いた樽は、オルニートスブラックバレルで使われています。

樽はレポサドで10年間で4〜5回、アネホで3回、エクストラアネホで2回使用されています。

続いて、サウザ最大の特徴であるディフューザーを見学。一般的な蒸留所では、アガベを圧力鍋かレンガ製のオーブンで蒸し焼きにしてからアガベジュースを絞るのですが、その過程を経ずに、生のアガベを細かく粉砕し、ホットウォーターとスチームで加熱してからそのまま絞汁、発酵の過程に入ります。

無駄も少なく効率的で、アガベ本来のフレッシュな味もしっかり残るため、この技術が使われています。

尚、この時にでたアガベの搾りかすや、テキーラの製造過程ででた廃水はリサイクルされ再利用されます。近隣のリサイクル設備がない蒸留所のものをサウザ蒸留所で引き取り一緒にリサイクルをしるなど、あまり知られていない環境問題への配慮もされています。

アガベは、皮を多めに残したタイプが使われます。皮を深くむきすぎないことで、辛みや苦みの味わいがバランスよく残り、テキーラらしいインパクトのある味になります。
100%アガベでない普通のテキーラ・サウザは、アガベジュースにコーンシュガーを加えて作られます。どちらも、メキシコ原産の材料なので、一般的な糖蜜を使ったものとも違う味わいがあります。
日本ではミクストテキーラと言う方もいますが、ミクストという言葉は法律で廃止されてから使われていないのでテキーラ・100%アガベテキーラの2つのカテゴリーになりたす。

発酵には自然発酵プラスオリジナル酵母を加えて26時間。64000リットルの巨大なステンレスタンクが使われています。

蒸留器は、1回目がタワー型の大型なものを使い、2回目は一般的な蒸留器。オーガニックテキーラでもあるスリージェネレーションのみ、3回目の蒸留が行われます。

ボトリング工場は見学不可でしたが、全て自社でボトリングしているそうです。

一通り蒸留所内を見せていただきましたが、大変清潔でシステム管理もきちんとされており、規模も大きく、さすが名門サウザという威厳のある場所でした。

メキシコではアガベ不足や価格の高騰化なども話題になっていますが、マイナス面だけでなく、大手の会社が企業努力で安定供給をすることで、テキーラの市場を守っていることにも目を向けたいと思います。

蒸留所見学のあとは、創業者の自宅だった場所へ移動してマルガリータタイム。ちょうど、夜に結婚式があるそうで、敷地内はとても華やかに装飾されていました。
少し休憩をしてから、敷地内にあるテイスティングルームで、日本未入荷のオルニートスとスリージェネレーション(プラタのみ発売中)をフルラインで飲み比べします。サウザ蒸留所は何度も訪問していますが、テイスティングルームでの勉強は初めて。貴重な経験になりました

サウザ家のテキーラ業界への貢献度は高く、創業者のドン・セノビオ・サウザは「テキーラの父」と呼ばれ、メキシコの地酒だったアガベの蒸留酒のラベルに初めて「テキーラ」と記し、アメリカのニューメキシコ州で開催された酒類コンペティションに出品した事で、サウザの創業年が初めてテキーラが「テキーラ」として他国に渡った記念の年となりました。
2代目のドン・エラディオ・サウザは元々樽で売られていたテキーラを瓶詰めして販売を拡大し、ヨーロッパへの輸入を開始しました。続いて、当時世界各地でテキーラの模造品がつくられていた中、品質やイメージを守るために3代目のドン・フランシスコ・ファビエル・サウザが立ち上がり、1974年にメキシコ政府へ働きかけてテキーラの原産地呼称制を成立させ、厳しい規定に即したものだけが「テキーラ」を名乗ることができるようになりました。
こうして、テキーラを世界中に広めることに貢献したのが歴代のサウザ家の人々であり、もし彼らがいなければ、日本でもここまでメジャーなお酒になっていなかったかもしれません。
ウザのもう1つの功績として、インターナショナルナル・スピリッツ・チャレンジ2015で、サウザのオーナーである「ビームサントリー社」が高品質で多彩な商品を生み出したテキーラメーカー1社だけに贈られる「テキーラ プロデューサー オブ ザ イヤー」を受賞したことが挙げられます。

知れば知るほど、歴史が深く、テキーラ業界への貢献度も高いブランド・サウザ。日本でもたくさんの方に、サウザの魅力を伝えていきたいと思います。