テキーラ村のアレッテ蒸留所を再訪問! | 目時裕美ブログ「Happy Drink Life」

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今年の2月に初めて訪問したテキーラ村の「アレッテ蒸留所」。

前回は、ドンフラノのオーナーに当日連絡してもらい連れてきてもらったので、時間が遅くてすでに作業が終了して蒸留所が稼働していなかったので、5月に改めてお伺いさせていただきました。

 


「ARETTE(アレッテ)」とは1948年ロンドンオリンピックの馬術で金メダルを獲得した有名な馬の名前で、メキシコではじめて金メダル2回・銅メダル1回を獲得した名馬。アレッテのように、情熱と強さを持ち合わせたテキーラを作りたいという思いで産まれたブランド。

ボトルにもその馬の絵が描かれています。

 

日本で数年前に一時期限定輸入されていましたが、現在は終売してしまい、メキシコで買い揃える方も多い人気ブランドです。

 

1986年に、5世代続くテキーラの名門一家オレンダイン家の創始者ドン・エドゥアルドの孫である、エドゥアルド(メキシコでは親の名前を継ぐ方が多いのでみんなエドゥルドの名前)とハイメ・オレンダインにより、テキーラ村に設立された蒸留所。

蒸留所内には、昔の写真が飾られています。

 

ちなみに、オーナーのエドゥアルド氏は、テキーラ村の元市長であり、CNITの現会長でもあるそうです。

とっても気さくで、優しい方でした。

 

テキーラ関係の有名なファミリーで、テキーラ村にある生産者の皆さんは交流が深く、お互いのブランドを尊重し合っているのをいつも感じます。

 

蒸留所の場所も、中心地のクエルボ、サウザ蒸留所のすぐ裏手にあり、あたり一面に広がる蒸したアガベの香りに包まれながら見学をさせていただきます。

 

テキーラ村にある他の蒸留所と比べて、アガベは大きめ。
ここでは、6年~8年栽培したアガベを使用し、2台あるアウトクラベ(圧力釜)で8時間アガベを蒸し上げ、その後10時間釜の中でアガベを冷ましたあと、5段階のローラーミルで搾汁してアガベジュースを発酵させます。

 


日本でも話題になっていますが、アガベの値段が高騰してから、集団でアガベ泥棒をする窃盗団がでてきているようで・・・残念な話なのですが、セキュリティをつけてアガベを守っているそうです。

ただ、このアガベ不足の問題も、実はかなり前から予想されていたところもあり、3年前くらいから先を見越してアガベを多めに植えたり、企業努力で値上げをせずにいるブランドがほとんどで、2020年には収穫量も落ち着き、アガベの値段も下がっていく傾向にあります。
過剰にニュースに出ていたりしていますが、アガベ不足・高騰化に関しても地道に努力しているブランドも多いので、情報に振り回されずに正しい知識を伝えて行きたいなぁと思います。

 

発酵で使う酵母は、昔から変わらず使っているオリジナルの自然酵母で自然発酵しています。テキーラの味わいにイースト(酵母)は大きな影響があるので、すごく気になるポイント。
 

ちなみに、海外輸出向けの商品は伝統的な製法のラインはコンクリートの発酵層で5日間、スーパーなどに並ぶレギュラーラインのものをステンレス製の発酵層で4日間かけて発酵します。

収穫量によって、どちらを使うかを変えていますが、珍しいコンクリート製の発酵槽は約70年前から変わらない製法を使っています。

 


蒸留機は2種類のサイズを使い分けています。

大きめサイズで1回目。続いて少し小さいサイズで2回目を蒸留します。

以前使用していた古い蒸留機も残っていました。


ヘッドとテールは25%前後大幅にカットされ、もともと2500リットルのものが2回目の蒸留でテキーラとして商品になるのはたった160リットルのみ

本当に美味しい部分だけ、贅沢に使われていて、ブランドへのこだわりと自信を感じました。
 

ちなみに、ヘッドとテールは近くにあるサウザ蒸留所に運ばれ、生活用水や蒸留所で使用する工業用水としてリサイクルされているとか!

アガベの搾りかすも、リサイクル業者に渡ります。


最近では当たり前になりつつある、リサイクルや環境保護。まだまだできていない蒸留所も多いらしく、きちんと対応しているところも高ポイント。

 


樽の貯蔵庫では、ジャックダニエルの中古樽を使って熟成。
蒸留所内に、ボトリング施設もあり、コンパクトながら清潔感もあり、伝統と歴史を感じる場所でした。




最後は、蒸留所の向かいにあるテイスティングルームで順番に試飲をさせていただきました。

メキシコでもメスカルやビールなどのクラフトブームがあり、アレッテでも海外向けに新しいボトルを作りました。

中身は同じですが、ブランコで1本500ペソと、従来の商品より少し高め。

メキシコらしい、気泡入りのずっしりとした手作り感のあるボトル。

歴史あるブランドにふさわしいアンティーク感が素敵

 


お店ではないので、いつもオープンしているわけではないですが、ここの雰囲気が前回来てからとても好きで、これからメキシコに行く機会がある方には、どんどんご紹介していきたいと思います。