ムチャリガやカサデルナを作るファナカトラン蒸留所レポート | 目時裕美ブログ「Happy Drink Life」

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4年ぶりに訪問したカサデルナやムチャリガを作っている「ファナカトラン蒸留所」。

オーナーファミリーの案内で、5月の農務省主催のメキシコツアーで久しぶりに見学をさせていただきました。

 

 

 

 

 

厳選された最高品質の原料のみを、伝統的でシンプルな製法で引き出し、余分な事は一切せずに、アガベ本来の旨味を引き出すこの蒸留所は、自然に囲まれた広大な土地にありながら、コンパクトで風通しが良く、全く無駄がない。

目立った演出や革新的な技術があるわけではないですが、訪問したみんなが感動する不思議な空間でした。

原点に戻って、テキーラ作りの大切な部分を、改めて教えてくれたような感覚でした。

 

もともとはオーナーのラウル氏を中心に、この土地に住む約80家族の生活を守るため、雇用を生み出し、アガベ農家や蒸留所スタッフとして職を与えることからテキーラビジネスがはじまりました。

よって、過剰に育てすぎたり、収穫しすぎたりしないようにアガベの生産量も調整しています。

 

2007年に、アガベ生産者が集まり蒸留所がスタートし、2008年から本格稼働しています。
アガベは、先ほど説明した通り、決められたパートナー企業から仕入れており、
6年の生育のものを中心に、24%以上の糖度、葉を切り落とした状態で20kg以上の大きいアガベのみ使用するという規定を設けています。

ここで作っているどのブランドも、この水準は同じです。

 

標高1500メートルの場所は、日照時間や標高がアガベの生育にベストと考えられているため、最高品質のものをつかっているという自信があります。

 

 

この蒸し上がったアガベは、ジューシーで甘くて、本当に美味しかった
 
テキーラの製造で使っている水も、この土地のものにこだわり、100メートル下からくみ上げた地下水を使っています。

水質は6ヶ月ごとにチェックをしているので、水質も保障されています。

 

収穫されたアガベは、25トン入るマンポステラで28時間加熱され、その後釜の中を10時間さまし、蓋をあけてさらに10時間おいて、シュレッダーに運ばれます。

シュレッダーにかけて残ったアガベの搾りかすはリサイクルされ、アガベ畑に肥料として再利用します。

 

 

 

 

 

網のネットで簡単にフィルタリング(ゴミを取り除き)して、ステンレスタンクで自家製酵母を加え、

 

3~4日間発酵し、6%程度のアルコールにします。

現在、コーシャのユダヤ教徒が食べてもよいとされる 食品の資格をとるために、オーガニック酵母の使用もすすめているとか。

 

 

ステンレス蒸留器(中は銅製)で2回蒸留されますが、ヘッドとテールは全て取り除かれ、

 

樽熟成の過程に入ります。

ブランドによって、酵母の種類や量、ヘッドをカットする量で味を変えているそう。

 

 

 

 

樽はテネシー州やケンタッキー州のアメリカンオークを使用。
レポサド、アネホ、エクストラアネホの全種類を作っています。

 

 

 

 

蒸留所見学の後は、ボトリング過程を説明していただきテイスティングタイム。

 

日本に輸入されているメインの2ブランドの他にもセカンドランやプライベートブランドのプロデュースなどもありますが、

彼らが力を入れているブランドの1つ、ムチャリガのリニューアルが今回の大きなニュースでした。

 

 

 

フルボトル1つ1つ、ボックスに入って発売されることになり、より高級感がましたのと、個性が出てお勧めしやすくなりました。

ミニチュアボトルの箱入りのセットもあり、今回の訪問をきっかけに株式会社スリーアローズさんより日本で発売開始となります。

 

ちなみに、蒸留所見学と別日には、ムチャリガのカクテルパーティーにも招待していただき、ムチャリガのカクテルと、お料理を、人気のお店で提供していただきました。

 

メキシコに行くたびにお世話になっているチームムチャリガの皆さんと、ゆっくり一緒にテキーラを楽しみ、日本でも新しい輸入社さんが決まり、より広く紹介できることが本当に嬉しい。

 

余計なことをせず、良いものをシンプルに提供し、地域貢献にもつながる彼らの活動をずっと応援していきたいと思います