ベッコウトンボ 山口県 県立新光産業 きらら浜 自然観察公園 2024年5月3日 | 昆虫漂流記

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ベッコウトンボ

山口県 県立新光産業きらら浜自然観察公園

2024年5月3日

かつては、宮城県以南の日本の各地で見られたベッコウトンボ。
今では日本の全体から見ると、絶滅や絶滅危惧寸前の危機的状況になっている。
環境庁が1989年に作成した日本版レッドデータブックで最高ランクの絶滅危惧1A(CR)に指定され、
法律的にも国内外の絶滅のおそれのある野生生物の種を保存するため、1993年(平成5年)4月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」という「「種の保存法」に指定されている。

この法律に違反すると、天然記念物等よりも厳しい罰則が伴っています。

ベッコウトンボが日本の国内で、確実に毎年見られるのは、静岡県、山口県、九州の数県だけしか残されていない。
それも池や湿原の数を指折りで数えられるほどの小さな単位の生息場所だ。
また同じ環境を維持し続けてもいても、数の増減や池の移動を行うトンボなので数キロ圏内の隣の池に飛んでいく事もある。と観察会の説明会でも教えてもらった。
今回は、こんな貴重なトンボの生きた姿を、今時の高画質のデジタルカメラでデータを残すのが目的だ。

出発の1か月ほど前から山口県山口市の県立きらら浜自然観察公園でのベッコウトンボ観察会の情報がネット上から拾い上げた。
また観察会の2週間ほど前には現地のネイチャーセンターに電話で、「遠方からなので、確実に観察会に参加できるかどうかが不明なのです」と確認して、当日参加でも可能な事は教えて頂いた。
これでゴールデンウィークはの予定はベッコウトンボの撮影1つに絞れた。


 

前日正午に兵庫県の姫路の自宅を出発し、錦帯橋で観光をした後に、前日夜中に近隣の道の駅きらら浜に到着し、朝まで6時間ほどの仮眠、イヤもとい、爆睡をしてしまい朝から気分が良い。

 

時間が待ちきれないのでネイチャーセンター開園前の8時半から、ベッコウトンボが生息しているのだろうと想像できる場所を、カメラを構えて散歩をしていたが、まるで姿が見れなかった。

9時の開園と同時に観察会の参加申し込みを行い、10時の観察会を待った。
観察会に参加されるリスト表に記載させてもらうと、他の人は山口県内からの参加者が多いようだった。
兵庫県の姫路から参加で此処がメインの目的訪問ですと答えると驚かれてしまった。

 

10時から説明会が30分程行われ、学芸員の方が子供にも判るような口調で難しい内容を説明をされたのを微笑ましく聞かせて頂いた。

10時半になって、野外での活動と思いきや、環境省から許可を得て人工飼育をしているベッコウトンボがネイチャーセンター敷地内で羽化しているとの事で、先ずはそれから拝見だ。丁度2頭が羽化した処だった。

その後は野外での観察だ。
開園前に私が探していたエリアで観察会が行われた。
しかしこれほど違うのかと驚かされるほど、ベッコウトンボの姿を見つけることが出来る。
ベッコウトンボも2時間ほど違うと活動時間に入り、頻繁に飛び交い木や草の枝先にとまっているトンボだった。
雄同士で縄張り争いで飛び立ち追いかける個体も見ることが出来て、観察会の終わりまでに30匹程は確認出来たようだ。
観察会の説明会では、野外で、自然に羽化している状況以外に、今年は人工飼育で44匹の羽化を確認されたらしいが、今日も2頭羽化していたのでこれからも羽化ラッシュになる事が想像できそうだ。
人工飼育の個体には翅に識別番号が記載される。

4月18日に羽化した3匹目のようだ。


さてこの観察会。参加費は無料な上に学芸員さん達のレベルも高くて、子供向けにも大人にも対応されてて和やかな観察会で説明も的確で親切だった。
この場を借りて学芸員の方々には、深々とお礼に頭を下げておきたい。

前置きも長くはなりましたが、そろそろ写真を紹介しよう。

 

観察会も終わりになりネイチャーセンターに戻る際に羽化して間もないベッコウトンボがネイチャーセンターのトベラの垣根の上で見送ってくれた。

子どもが10センチ以内の距離でスマホで撮影している一方、望遠レンズの私は2メート以上も離れなければピントが合わない。何故に、マクロレンズをカバンに入れてなかったのか!少し情けなかった。

 

最後にすでに絶滅してしまった兵庫県のベッコウトンボです。
標本はベッコウトンボが種の保存法1993年4月から施行される前のラベルで法律施行以前に譲渡して頂いたものだ。
生体写真はその方から、標本と同じ池での写真で、整理の際に見つけたと聞き、以前にコピーをデータで保持させて頂いている。兵庫県で生息した当時の姿なのです。

フイルム写真からデジタルカメラになった現在。

記録方法が変わり写真で残そうにも生き物が絶滅してしまえば、視覚で確認する事が出来なくなります。

是非にとも、少なくなった生き物こそ大事にしたいものだ。