マルギナトゥスマルバネクワガタ (亜種parryi) | 昆虫漂流記

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マルギナトゥスマルバネクワガタ

(亜種parryi)

(旧名 パリーマルバネクワガタ)
Neolucanus marginatus parryi
Doi Saket, near Chiang Mai  Thailand
(タイ王国、北部のチェンマイ県ドーイサケット郡)
2011年 WILD輸入個体

聞きなれない難しいクワガタの名前だな~と思われる人も多いかもしれませんが、

以前は、この種はパリーマルバネクワガタ「Neolucanus parryi Leuthner,1885」と、一般的に呼ばれていた種になります。


近年の研究から、

パリーマルバネクワガタは、マルギナトゥスマルバネクワガタ「Neolucanus marginatus Waterhouse,1872」の亜種に降格されたようです。
マルギナトゥスマルバネクワガタの記載登録は1872年、一方、パリーマルバネクワガタの記載登録は1885年なので、国際命名規約に従って、先だって登録されていたマルギナトゥスマルバネクワガタの亜種と云う順番が適応されたわけです。

 

ちなみにマルギナトゥスマルバネクワガタの亜種分類は

  • インド北東部、シッキム、ミヤンマー北西部←原名亜種
  • ミャンマー東部、タイ北部、ラオス、ベトナム北部、中国南部←亜種parryi(亜種パリー)
  • ベトナム南部に生息するらしい個体群←不明な未記載の個体群。つまり未だssp.記載

先ず、雄の写真から。

 

此処から雌の写真

 

雄と雌の頭部の違い!

よく似ていますが大顎の形状に違いがありますね。

最初は雄の大顎の写真。

次は雌の大顎の写真

 

左が雄、右が雌

 

ところで、今回取り上げた亜種parryiはインドシナ半島から中国南部にまで広く分布し、写真の様に綺麗に黄色と黒の模様や黒一色で単色の個体も見つかっているので個体変異も大きい。
さらに同じ地域にはラトスマルバネクワガタや、ブレビスマルバネクワガタなどの別の種類も生息しているので、単色個体では種を区別するのは難しくなります。
亜種parryiの発生時期は、他のマルバネクワガタと同時期の9月、10月に発生が見られるので、更に見分けを難関にしている理由の1つです。

マルバネクワガタ属の「Neolucanus」は「新しいLucanus」という意で、ギリシャ語の「neos」は新しい。「Lucanus」はミヤマクワガタ属を意味する「森にすむ虫(ミヤマクワガタを更新した際に説明詳細は記載)」を意味しています。
亜種名の由来を考えると、マルギナトゥスマルバネクワガタ(亜種parryi)もしくは(パリーマルバネクワガタ)の「parryi」は、イギリスの軍人で大型綺麗甲虫のコレクターでもあります「Frederic John Sidney Parry(フレデリック・ジョン・シドニー・パリー(生1810.10.28~没1885.2.1)」少佐に由来しています。(単語が「parry」が「parryi」に変化しているのはラテン語で属格へと変化させた結果です)
他のクワガタにもパリーの名が付く種類を多数見かける事と思いますが、この昆虫研究家の名前に由来しています。
ちなみにクワガタムシに関して人名由来からの種名は、300種ほどの種類が存在すると云われていますが、余りに多いので私の知る処では不明な人物名も多いです。

 


左2雄、右2♀


追記
マルバネクワガタシリーズは手持ちの標本を全て紹介し終えたつもりでしたが、ツヤクワガタの標本箱を整理している際に、このマルバネクワガタが出てきました。標本箱の空きスペースに入れていた事で色合いが似ていた為に持っているのを忘れていた始末です。