フォーチュンミヤマクワガタ (WILD)
Lucanus fortunei
中華人民共和国
ミヤマクワガタ属(Genus Lucanus Scopoli)で一番大きなグループがフォーチュンミヤマグループとも云われるヒメミヤマクワガタ群の仲間で、ブータン・インド北部などのヒマラヤ近辺から中国各地、ミヤンマーからベトナムのインドシナ半島、台湾と広い地域に生息しています。
ヒメミヤマグループを決める、決定的な定義は決められておらず、外見上の判断に委ねられ、多くの種類の雄においては体長に対して長い大あごが特徴的な事と、雌の大顎がヘラ状に見える事が共通している条件にすぎませんでした。
近年、2017年から2022年にかけて中国の安徽省、浙江省、福建省、台湾、江西省、湖北省、湖南省、貴州省、四川省、重慶省、雲南省、西蔵省、広東省、広西チワン族自治区においてヒメミヤマグループの32種・亜種においてサンプリングが行われ、従来の一括してヒメミヤマグループを意味していたLucanus fortuneiグループから新しく分離させて
Lucanus brivioi グループ、
Lucanus kraatzi グループ、
Lucanus parryi グループ
を新しい3グループを追加し4グループ化する提案がされています。
また、此の頃より、研究が進み多くの種類が新種、亜種として分類されました。
さて旧来よりヒメミヤマグループを代表する種のフォーチュンミヤマクワガタですが、
このフォーチュンミヤマの記載は、19世紀末に東洋の昆虫をコレクションしていたイギリスのロベルト・フォーチュン氏によるものです。
フォーチュンミヤマのホロタイプの記載は1854年に登録されましたが、残念ながらロベルト・フォーチュン氏の昆虫コレクションはイギリスロンドンで1872年に競売にかけられてしまいました。
学名「Lucanus fortunei Sanders, 1854」でChina, Shang-Hai(上海)の個体を記載されているようです。悲しいかな、標本は競売にかけられても彼の名前は昆虫の学名には残されています。
雌においては、フランス、パリ自然史博物館にTYPE標本として所蔵されている「Lucanus laevigatus Didier, 1931」China, Fu-kien(福建省)の個体がフォーチュンミヤマではないか?と九州大学のクワガタムシの権威の荒谷邦雄教授によって「月刊むし」362号2001年4月号に紹介されています。
(ホロタイプ=新種、新亜種の記載にあたり、基準にされる為に世の中で1点(昆虫では1匹)だけ選ばれる標本。ただ単に”type"や”the type”として簡略化される事もあります。)
(パラタイプ=ホロタイプが指定された場合に、記載者がホロタイプに指定の際に使用された1点以外の、残りの全標本。)
やはりこの種も標高の高い地域で生息し、高温、多湿には弱い種類です。
ちなみに
2021年6月にヘルマンミヤマクワガタ(Lucanus hermani)と共に天然記念物(中国国家第二種保護動物)に指定されています。
本種を他のヒメミヤマグループ内での見分け方
ヒメミヤマグループの雌の特徴