イシガケチョウ イシガキチョウ あなたの 名前 はどちらですか? | 昆虫漂流記

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近年は、昆虫だけにとらわれず、自然全体から、
観察する眼を持ちたいと思いますのでよろしくお願いします。

イシガチョウ イシガチョウ

あなたの本当の名前はどちら?

 

最近の温暖化の影響なのか、西日本では普通種になった蝶の1つですね。
普通種になった理由の1つが越冬できる個体が見られる様になった為だと云われています。

 

さて

イシガケチョウ ? イシガキチョウ ?
本当の名前はどちらなのでしょう?

 


蝶好きな私には蝶自体が好きなので名前はどうでも良い事なのですが調べてみました。


色々な図鑑にはイシガケチョウと紹介されてはいますがこんな解説が付随させてあります。


「保育社 原色日本蝶類図鑑」より抜粋。
本種の和名をイシガキチョウとするむきもあるが,明治23年,初めて高千穂宣麿氏が動物学雑誌第2号に「石崖蝶」として書かれて以来,大部分の人々が人工的な感じを受ける「石垣蝶」をさけ「石崖蝶」を使用していることでもあり,今後,混乱をさけるためにもイシガケチョウを使用するのが望ましい(「石垣蝶」の名は明治35年,名和昆虫研究所の第1回全国昆虫展覧会出品目録で「崖」を「垣」と誤用したのが最初で,石垣島とはまったく無関係である).

 

「学研 日本産蝶類標準図鑑」より抜粋。

和名イシガケチョウ(イシガキチョウ)は翅表の特徴ある”石崖(石垣)”様の模様にもとづく。

営利目的の無いブログではありますが、

著作権の関係上、引用元を明記させて頂きました。

 

他にも手持ちの図鑑を探して見ましたが此の事柄を記述されている物が少ないのが実情でした。


上記記載の明治35年ならば昔の図鑑は?

との事ですが、流石に明治や大正時代と云うのは関係資料が簡単には手に入らないので、

「原色千種昆虫図譜」(平山修次郎著、松村松年校閲)の昭和1ケタ時代の大戦前の図鑑を取り出してきました。
(写真図鑑でない時代ですので、当時は図譜と呼ばれる絵で記載された図鑑が中心です。)

 

「千種昆虫図譜」についてはこちらで紹介していますので興味のある方は
リンクしてありますので参考に。

東京産 オオクワガタ を平山修次郎コレクションと原色千種昆虫図譜から戦前の記録と標本と書籍を参考に「信頼性の高い現存する東京産オオクワガタ標本」と「手塚治虫」氏を確認する。」

こちらを長い題名ですが上文をクリック。

 

著作権の保護期間50年を過ぎていますので

こちらの図譜「原色千種昆虫図譜」は添付させて頂きました。

 

「原色千種昆虫図譜」にはカタカナで「イシガケチョウ」と記載されていました。
また添付されている写真個体も台湾産が使われていました。

台湾は戦前の日本の統治下にありましたので添付されている事は当然な事です。

 

では、台湾では蝶の名前はどう扱われているのでしょう?
台湾の最近の蝶のポケットガイドブック図鑑によるとこんな記載がされています。


何となく読めて意味が解るでしょう?


石墻蝶、石岩蝶、崖胥、地圖蝶さらに調べると網絲蛺蝶、、石崖蝶、石垣蝶、 石牆蝶

など海外でも多くの別名を持った蝶のようです。


少し、日本のイシガケチョウからはなれすぎましたね。

日本国内のイシガキチョウは
Cyrestis thyodamas mabella Fruhstorfer,1898 とされています.
しかしながら

屋久島周辺を境に北の本州に生息する蝶と

沖縄県南部(八重山周辺)に生息する蝶には違いが見られる事から、

(本州と八重山諸島の中間地域の奄美周辺では中間型(移行型)も見られる)

これらを別亜種として取り扱う事もあります。
この場合、本州の個体群をssp.kumamototensisやssp.mabella で記述され、南西諸島の個体群をssp.ishigakiana とされる場合もあります。

 

 

さてさて

前書きが長くなりましたが、
今現在、12月の季節に近隣を飛んでいるイシガキチョウをご紹介です。
今の季節に飛んでいるのは越冬前の個体達です。
実は越冬に際して、どう過ごしているのか?
そんな越冬個体の確認事例は記録としては残されているのですが、残念ながら実際に撮影された写真は少ない事と言われています。
しかしながら本年最初の投稿では、

「日本の国蝶オオムラサキ」を書かれているブログ友人が、月刊むしにて紹介されています。

(リンク先は当記事の本文最後に紹介してますよ)

 

下添付の生態写真は全て兵庫県赤穂郡にて2018年12月2日に撮影。

3頭のイシガケチョウが隣り合った2本のビワの花で吸蜜、日向ぼっこをしています。

 

蝶とカメラの距離は4メートルほど離れていましたがマニュアルで測光モードの設定を適正化せずに撮影してしまったために、かなり明るくなってしまったようです。気が付かず準備不足でした。

 

飛んでる個体が西日本では近年増えてきたとはいえ、まだまだ越冬中の個体に出会うほどの個体数ではない事が伺えます。

越冬最中の個体を私も撮影した事はありませんが、今回確認した3頭の蝶は全てが雌でした。
文献によると、本州での越冬個体は雌しか見つかっていないと一昔前の図鑑には書かれていましたが、最近の文献では、越冬の雄は少ないが見つかっていると書かれていました。
「ナルホドそうなんだ」っと納得。

 

次は
翅の違いを標本にて~!紹介!

兵庫県赤穂郡産 雄 2009-09-02採集


上個体裏面

 

兵庫県宍粟市産 雄 2016-09-07採集


上個体裏面

 

兵庫県姫路市産 雌 2009-09-02採集


上個体裏面

 

兵庫県赤穂郡産 雌 2018-12-01採集


上個体裏面

 

沖縄県八重山諸島産 雄 2012-07-15採集


上個体裏面

沖縄県八重山諸島産 雌 2012-07-15採集


上個体裏面

 

上の各個体を左前翅だけを見比べられる様に編集してみました。

雌雄の判別に少し自信がありませんが~!

黒い紋様の発達の仕方と腹部の膨らみ方での判別ですので、交尾器による判別はしておりません。

(金銭取引があるブログではありませんので、詳細な雄雌の判別はしておりません。)

 

この辺りで、少しはイシガケチョウについて書く事が出来たでしょうか?
分類の諸論については色々と考え方がありますのでご了承下さい。

 

文中に紹介しました

蝶友の「日本の国蝶オオムラサキ」さんのリンク先です。

こちらをクリック

 

 

今年の12月は記録的な暖かい日が来たと思えば、
数日後には真冬の寒さが~と云われています。
温かい日には昆虫達もまだ活動をしていますが
寒い日には何処を探しても見つからない事もあります。
そんな日には人も温かくしておきましょう。
人間社会は冷たいけれど、体も気持ちも~温かく!!。

 

水の中ではミズカマキリが~2018年12月1日撮影 兵庫県にて

 


アカタテハは誰よりも温かい気持ちを持った私の処に集まり、手乗り、指乗りに~。
(ちょっと言いすぎ?)2018年12月2日撮影自宅にて

こちらの蝶もこれから越冬するのですよ。

頑張って!!

 

 

イシガケチョウ イシガキチョウ

あなたの名前はどちらですか?

を記す

 

せんせんせんせん線

 お礼

本記事は

次のように、皆さまのおかげで

公式タグ2種類で1位にさせて頂きました。

ありがとうございます。(2018-12-06)

 

 

追記

画像が下添付の様に無断転用されておりますが、記載には当方とは関りはありません。

金銭取引が関わらない画像転用ですので使用して頂いても構いませんが、できれば転用元や引用元までの記載をお願い致します。

ネット上に掲載された画像は何年もネット世界で生き続けます。

また画像を作成するには、それなりの標本収集や手間暇がかかります。

(てんとうむし てんとうむしより)