夏回帰~ ゴマシジミ 岡山県北部 蒜山高原 2018-08-12 | 昆虫漂流記

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西日本を中心に昆虫を追いかけています。✌
東へ西へ、過去に未来に昆虫求めて漂流していますが、
近年は、昆虫だけにとらわれず、自然全体から、
観察する眼を持ちたいと思いますのでよろしくお願いします。

夏回帰~ 

ゴマシジミ 岡山県北部 

蒜山高原(ひるぜんこうげん) 

2018-08-12

 

 

 

夏回帰 ~ 。
自宅からは150㌔も離れたこの地は毎年、知り合いが顔を出してくれます。
その知り合いはゴマシジミと名の付く蝶。
夏のこの時期になると、この地に呼ばれているように引き寄せられる気持ちは、

蝶目当てだけの訪問とは異なり、この景色に戻帰ると云う気持から回帰で表現してみました。

 

無造作に氷を投げ込み、炭酸で割ったグラスを片手に昨日を思い出してブログ更新~~。
ちなみにグラスにカクテルならばちょっとした小説の中の主人公ですが、
そこは、お子様向けのフルーツカルピスの炭酸割りで~関西人らしくオチにしたい処です。

 

岡山県北部 蒜山高原にて 2018-08-12撮影

 

8月に入り、ワレモコウの花が赤く色付き始め、黄色いオミナエシ(女郎花)と青い桔梗がススキの間から顔を覗かせ始めると、

鳥取県と岡山県周辺部にはゴマシジミが可愛い姿を魅せてくれます。
 

野山で咲くキキョウ(桔梗)

 

オミナエシにヒロオビヒゲナガ(蛾)でしょうか?

 

ここ蒜山高原は数年前までは沢山のゴマシジミの姿が見られた豊かな自然地域でした。

ゴマシジミは蟻と関係しながら成長する特異なシジミチョウで産卵に使われる植物もワレモコウの花芽に行なわれると云う、

こだわりうるさい蝶なのですが、ここ広大な蒜山では彼方此方で見られた蝶でした。

しかし数年前より見かける個体数は激減してしまい、観られなくなった場所もあります。


その原因はこれであるとはっきり特定して決める事ができないのが私の考えですが、
特異な蝶だけに、農地開発で畔上のワレモコウの減少、草原の焼き入れ有無についての原因など
人間が利用する土地に関わる事情で植物や蟻に影響が出始めた理由や
近年は夏の暑さが尋常ではなく、蝶の活動にも影響が出ているのかもしれない?事や
ゴマシジミ中部亜種が採集禁止になった事や、全国各地でゴマシジミの姿が見れなくなってきている故に西日本への採集者が増えた採集圧も理由と考えられます。(昨年や1昨年は蝶の数より採集者の数の方が多い日も見られました)


理由は何にせよ、見かける蝶を全て捕獲しようと考えるのは蝶屋のプライドとしては良いものではありませんね。
ここは採集禁止のエリアではありませんので採集者の乱獲行動は各自の良識に頼らなければいけません。
まず、傷ついた蝶や多数の雌の採集は絶対に控えるに値しますよね。

 

それでこんなで今年の状況は?と言えば。
昨年と同様に少ない状況です
でも数個体の雌は見かけるに至りましたが、それも毎年訪れる多産地域だったからにすぎません。

 

こんなススキの草原を長袖のポロシャツとジーンズに長靴で進みます。

ちなみにこの写真の中央を胸の高さのススキに関係なく真っすぐに進みます。

 

色んな植物が生えているので、ジーンズでないと棘のある植物で破れてしまいます。

此処も藪こき上等で真っすぐに前進。

目の高さより草丈が高いでしょう。

 

「今年も帰ってきましたよ」と目の前に広がる広大な草原に挨拶をして、
私と同じように例年此処を訪れて来られる初見のⅯ氏と長い時間、目の前で舞う蝶を眺めながら蝶談を楽しみ、

時間があっという間に流れてしまいました。

 

あっ!!!蝶をほとんど撮影してないよ!!
慌てて探すも、

そんな時は、今まで目の前に飛んでいたのがウソのように、蝶の姿はなかなか見つからないですね。

 

こちらは雌のゴマシジミ。

秋を代表する萩の木にとまっています。

 

上写真と同じ個体

翅を開いてくれるのか?期待しましたが残念。

 

こちらは別の少し小さな雌

卵を産んでいました。

 

上写真と同個体

此処は風が通り抜ける場所でワレモコウが揺らいで、残念な写真ばかりになってしまいました。

 

こちらも別の個体 

日当たりの良い場所でじっと動かないでいました。

 

どうしても翅を開いた蝶が見つからないので、

帰り際に1頭を採集してブログ用に財布の上で撮影してみました。

ゴメンね。

 

他には柏の疎林にてノコギリクワガタも見られました。

こちらはオオヒカゲ。

お隣の兵庫県では絶滅してしまったとされています。

こちらは敏感な蝶で、近寄る足音に驚いて遠くに逃げてしまいます。

また藪の中に逃げ込む性質もありますので、

蝶に気づかれる前に見つけなければいけません

 

世間は盆休みでも明日は仕事がありますので慌てて帰宅しなければいけません。
まだ休暇を楽しんでおられる大勢の観光客を横目に車を家路に進めました。

遠景に伯耆富士の大山(だいせん)を眺めて。

中腹から上は雲の中。

 

こちらは蒜山3座。

左から上蒜山、中蒜山、下蒜山で

この撮影地から山まですべてが蒜山高原です。

(まだまだ左右にも拡がっています)

 

現地で財布の上で撮影した1頭はちゃんと標本にしています。

命は無駄にはできません。

500円玉と比べるとシジミ蝶の仲間では、ゴマシジミは大きい事が判ると思います。

 

 

私には蒜山高原は今までにも沢山の新しい蝶友をつくる事が出来た高原。
だから今後もその仲立のゴマシジミには、命を世代を永遠につなげて欲しい。

~SUMMER DAY