ニシキキンカメムシ 岡山県中西部 2017-06-06 | 昆虫漂流記

昆虫漂流記

西日本を中心に昆虫を追いかけています。✌
東へ西へ、過去に未来に昆虫求めて漂流していますが、
近年は、昆虫だけにとらわれず、自然全体から、
観察する眼を持ちたいと思いますのでよろしくお願いします。

ニシキキンカメムシ

岡山県中西部

2017-06-06

 

日本最美麗種の1つ、ニシキキンカメムシ。

今年は、姿を見る事ができました。

 


最初に出会ったのは、2012年6月6日。

この時は偶然に採集出来たのですが、今年は5年ぶりの再会。

毎年通っていると、偶然と神頼みで、時に幸運を齎してくれます。

但し、5年に1度では、オリンピックより長いですね。

 

前年の採集失敗の記事はこちらにもありますので出来ればご覧ください。

こちらがリンク記事です➡ こちらをクリック。

 

 

ニシキキンカメムシの採集は、まずホンツゲの木を探す事から始まります。

関東から九州にかけての、ホンツゲの自生する石灰岩の地形や蛇紋岩の地形に生息しています。
発生地には、多数の個体が見られることもあり、稀種な割には、まとまって採集できることもあります。
ホンツゲの木の自生地を見つけると、ルッキング採集がメインです。

まず目で見つけなければ、樹に触れた少しの振動で、ポトリとホンツゲから落ち、直ぐに飛んでどこかに去ってしまいます。
此処の産地で自生するホンツゲは2メートルぐらいですが、下から覗いていては、見つける事は、難しく、横方向と斜面の上から目立つ姿を見つけて近づく必要があります。
採集には、
たたきあみの要領で下部に網等で落ちても良いようにしてから採集するのが理想です。

 

今回は撮影中に逃げてしまう覚悟を決め、周りの小枝を出来るだけそろりと花ハサミで切り落としながら視界を作り撮影しました。
ホンツゲの自生するポイントを何度も往復しながら1時間ほど丁寧に探し、何とか3頭を見つける事ができました。
適度に撮影を済ませて直ぐに採集しましたが、さて問題は持ち帰ってからの飼育です。
餌の確保は出来るのでしょうか?難題山積です。

 

 


見つけたままの姿です。驚かせれば飛び去り撮影出来ません。 

2017-06-06撮影

(最初の添付写真はこの写真を加工しています)

 

 

見つけて直ぐの姿です。上写真の後。 

2017-06-06撮影

 

 

ホンツゲの繁みにいましたので取り出して土の上で撮影しました。 2017-06-06撮影

翅を広げ飛び立つ構えをしますので、少し慌てました。

 

 

この写真の下は切り立った崖です。

レンズ300㎜でしゃがみこんでカメラを固定。

でも少し手振れしてますね。

原因は高所恐怖症で震えも少しは?
採集は7.2メートルの網を伸ばして安心楽々。

2017-06-06撮影

 

純粋に美しいの一言に尽きますね。 2017-06-06撮影

 

 

こちらがツゲ科のホンツゲです。

庭木に使われるツゲ類はモチノキ科でイヌツゲ、キンツゲ等とは違います。 

ホンツゲの実が写真のように緑ですが、モチノキ科のツゲと呼ばれる仲間は実が黒色です。

また広島県、岡山県に自生する種をチョウセンヒメツゲ(シマヒメツゲ、タイシャクツゲ)

と呼ばれています。

2017-06-06撮影

 

 

こちらではこんな石灰岩斜面にホンツゲは自生しています。

2017-06-06撮影

上の写真を向かいの尾根から撮影しています。

この崖にホンツゲが自生しています。

此の写真中心部の写っている崖の高さ20メートルが写真に収められていますが、写真枠外にそれ以上の高さが隠れています。この崖の上部より足を震わせながらの撮影です。上部の尾根幅は広い所で2メートル、狭い所は書かない方が良いのかと思います。

石灰岩台地でもカルスト地形と呼ばれるような、テレビで写される場所とは違い、河川などで浸食などをうけ、急峻な崖に姿を変えた台地の端にあたります。

 

 

カレンフェルト(Karrenfeld)ドイツ語で、石灰岩がこのように侵食した物。

山頂付近は、こんな感じです。

2017-06-06撮影

 

此処から持ち帰って撮影分

 

飛び立つニシキキンカメムシ  2017-06-08撮影

 

 

飛び立つニシキキンカメムシ  2017-06-08撮影

 

 

飛び立つニシキキンカメムシ  2017-06-08撮影

 

 

 

ニシキキンカメムシ 雄 雌 見分け方


裏面♂見分け画像 

 

裏面♂見分け画像 

 

裏面♀見分け画像

腹面の色と形が違います。

雄雌の見分け方は検索をしても見当たらないのですが、美麗なニシキキンカメムシを裏から撮影する人はいないのでしょうね。

 

 

産卵。

産卵シーンを観る事が出来ました。

逆さまにぶら下がって産卵するのですね。

 

 

飼育3日目、切り枝のホンツゲの木の良い香りが部屋中に強く匂い出した頃に産卵しました。

2017-06-09撮影

 


雌個体が傍らで寄り添い、上から覆いかぶさりして卵を守るようにしています。

2017-06-09撮影

 

ニシキキンカメムシの記事中の採集方法や飼育などは、自分独自の考えを記事にしています。
また、私のホームグランドの兵庫県では、故高橋寿郎氏の「六甲山の昆虫たち」(昭和56年・1981年発行)に記載されている兵庫県赤穂郡上郡(米山和繁氏採集1966-5-3)と西宮市(昆虫と自然1969年記事)においての採集記録がありますが、40年を過ぎた現在まで追加の採集記録はありません。

 

 

ニシキキンカメムシの生息地(資料より)

こちらの分布地図は最近のものではありませんが添付しておきます。

 

このニシキキンカメムシは綺麗な姿を見られるのは、生きている間だけです。

標本にしてしまうと、生きている時の美しさは、無くなって色変わりしてしまいます。

他のカメムシ類の様に膜を張るのではなくて色変わりです。何か方法が無いのか考えております。

生きた姿を見る機会に出会えれば、ぜひ写真に残される事をお薦めします。

 

追加記事(2017年6月12日追加)
所要で利用する前に1個体が死んでしまい、標本にする前に、撮影して記事にしておきたい事柄があり、記載しておきます。
キンカメムシ類を実際に目にした方々や撮影しておられる方々でも、なかなか気づかない事があるので、紹介しておきます。
ニシキキンカメムシを含むキンカメムシ類は他のカメムシ類とは翅部分が、違う構造になっています。
通常のカメムシ類は甲虫類(カブトムシなど)と同じように前胸背板と言われる部分の後方の三角形の背盾板といわれる部分から、鞘翅にあたる前翅部分が左右に分かれるように左右後方へ伸びているのですがキンカメムシ類では、背盾板、其の物が背面全体を覆うように広がっていて、翅はその下に隠されているのです。つまり上の翅は
背盾板が大きく広がった1枚物です。
実際、上記に添付した飛翔写真には、前翅である上の翅が左右に分かれず隙間から後翅にあたる下の翅部分を腹部下部との隙間より左右に広げて飛翔している事に気づかれるでしょう。

少し難しい説明になりましたので、簡単に紹介しましょう。


下の添付写真をご覧ください。
甲虫で鞘翅(サヤバネ)にあたる上の翅は、1枚もので左右に分かれてなく、割れ目もないのです。まさにカメムシの中でも亀のような甲羅を背負ったカメムシなのです。

 

鞘翅に相当する背盾板は外縁後方では、左右に分かれていない事が判ります。

 

上の写真の拡大写真ですが割れ目もありません。

 

 

真上からでは、背盾板が全体に広がり1枚物がよくわかります。

やはり割れ目はありません。

一枚物の甲羅のようですね。

 

死んだ直後の個体の色です。

死んで3日目の個体の色です。

このように色が変わってしまいます。

 

 

 

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

追記 

私のブログ内でのニシキキンカメムシの記事へのリンク(まとめ)を紹介しておきます。

  • 2016年06月08日 記事 ➡リンク

 

  • 2017年06月06日 記事 ➡本記事
  • 2017年09月06日 記事 ➡リンク

こちらからクリックして頂きますと各記事に移動できます。

*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~