ミドリシジミ幼虫&ギフチョウ幼虫 2017-05-07 | 昆虫漂流記

昆虫漂流記

西日本を中心に昆虫を追いかけています。✌
東へ西へ、過去に未来に昆虫求めて漂流していますが、
近年は、昆虫だけにとらわれず、自然全体から、
観察する眼を持ちたいと思いますのでよろしくお願いします。

ミドリシジミ幼虫

ギフチョウ幼虫

2017-05-07

 

初夏の頃この様な姿を魅せてくれますよ。

2014年6月撮影


新緑から、だんだん山の色彩が色濃くなり始める季節、春に卵から孵化した、小さな幼虫たちが、命を引き継いでいます。

 

実はこの記事、最初の目的は、食草の黄色い花のミヤコグサのお花畑のに止まる、小さなシジミチョウ「シルビアシジミ」でしたが、この時期は全くの未発生でした。
「ダメだ、いない!」

と判断すると目標転換し、先月の記事で可憐に飛び交っていたギフチョウの幼虫はどれくらい成長しているだろう?

予定の変更です。
都合のよい事に、ここから約15分ほど車を走らせれば、そちらの目的地に行く事ができます。


車を停め、足を進めたその時、頭をよぎりました、目の前にある樹は「これはハンノキだったよな!」

ならばと、目の前の新葉の中を探すと、一目で幼虫の巣を見つける事が出来ました。
折りたたまれた巣を広げ確認した処、ミドリシジミの幼虫に間違いはありませんでした。

一つ見つけると次から次と見つかるのですが、これらを沢山採集するわけにはいきません。

なぜなら、この「ハンノキ」は「えのき」と同様に水揚げが悪く、 飼育には鉢植えの幼木が必要となります。と書物の飼育法で読んだ覚えがあります。

おまけに蛹化(さなぎになる事)は地面に降りて行われる為、水槽内でのハンノキの水栽培飼育では限界が見えています。
だめもとでも「羽化したての個体は見たい」。

 

頭のみ持ち帰り、新しい方法で飼育ができないものか試してみたくなりました。

 

おっとと、道草が長くなりましたね。

本命はギフチョウの幼虫でしたね。
山の奥に進み、カンアオイが一面に広がる場所へ、向かいこちらもすぐにカンアオイの食痕からギフチョウの幼虫を見つけるに至りました。

ギフチョウは此処では飼育しなくても沢山の成虫を見る事が可能で、今更と云う気持ちで飼育に興味がないので、撮影のみで終了。


ギフチョウは春の女神、ミドリシジミは「西風の神ゼピュロス」が由来の「ゼフィルス」と云われる蝶。
今日は、神様たちの子供を追いかけていた、昼下がりになりました。

 

大きな木になるハンノキ  2017-05-07

 

ため池が多い為、土手のこんな小さなハンノキでも発生。 2017-05-07

 

ヤシャブシの実と似ているのでよく間違いますがこちらがハンノキの実(実の大きさが小さく、葉のようすがちがいます)

2017-05-07

 

ミドリシジミの幼虫の巣 葉を上手にたたんで巣に。

(餃子ともよばれています)

2017-05-07

 

すぐとなりにもあります。

2017-05-07

 

こちらは2巣並んであります。

2017-05-07

 

確認の為に巣を開いてみました。

2017-05-07

 

上の写真と同じ個体です。

2017-05-07

 

いもむしを可愛く撮ろうと努力しましたが、まだまだですね。

2017-05-07

 

すべて同じ個体です。

2017-05-07

 

こちらはギフチョウの食草、ヒメカンアオイの林底

2017-05-07

 

ギフチョウの弱令幼虫の食痕は探すのも大変(マムシに注意)

2017-05-07

 

爪のサイズと比べてみて下さい。小さいでしょう!

2017-05-07

 

三脚でカメラで固定で撮影してみました。

2017-05-07

 

命はひっそり引き継がれています。

 

 

訂正、いやいや追加記事(2017-05-23)
ハンノキの水揚げに関して。
「ハンノキ」は「えのき」同様に水揚げが悪いと記載しましたが、次の方法をとれば、

新芽に関しては腐敗してしまいますが、本葉に関しては、えのきほど水揚げが悪くなく、日持ちがする事が判りました。
この方法では、食草を水差しで水栽培をするよりは幾分か、日持ちがするので、飼育の際には試して頂くのも一つの方法でしょう。

 

ハンノキの枝元はティシュで包んでティシュごと輪ゴムで個別にとめて丸める。

 

水の入った瓶につけておく。(ティシュから空気を追い出しておくのと水にスポーツドリンクを少し加えておく)

 

ビニールで蓋をした水槽、もしくは透明な衣装ケースに用意した水差しの植物を入れてかなり濡らした状態に霧吹きをかける。
カーテン越しの薄明るい所(蒸さない温度になるように)において置く。

この方法で、ハンノキ」を20日間、食草として使用可能でした。

「えのき」では、1週間で葉が固く変化(枯れる)して、食草としては使えなくなります。

 

 

飼育を始めてからは、大袈裟な水槽は使わずに、この水槽(タッパー)で加湿状態で保存しながら、必要な枝を取り出して水分を落としてから別の湿度を控えたタッパー内で幼虫は飼育しています。

幼虫が余りに小さすぎると少しの水分で溺れてしまい死亡する恐れがありますので、その際には、水滴を取り除いておくように注意が必要です。

 

05月11日に無事このように、タッパー内で蛹になりました。

蛹はさらに湿度が高すぎて、カビが生えないように部屋内程度の湿度で管理しています。

最初の蛹が05月27日に羽化しました。

通常サイズの雄が羽化しました。

幼虫採集でしたので、幼虫期間は不明ですが、蛹期間は16日間です。

 

羽化した蝶は、元の場所に逃がしています! 

飼育を楽しめただけで十分。

とても綺麗だからといっても、標本箱に飾る為に数多くの命を奪ってまで標本にする必要がないので。

 

参考までにミドリシジミを撮影に出かけた際の記事にリンクをかけておきます。

ミドリシジミ 兵庫県 南部 2016-06-11

ミドリシジミ 兵庫県 南部 2016-06-18

ミドリシジミ 兵庫県 南部 2017-06-24

ミドリシジミ 兵庫県南西部 東播磨 2019年6月

ミドリシジミ 兵庫県播磨平野 2020年6月にて