タイワンオオクワガタ 異常型 | 昆虫漂流記

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タイワンオオクワガタ

Dorcus grandis formosanus

の異常型


 本種は台湾の低地から2000メートルの高地に至るまで生息しているとされていますが、

里山の開発によって生息が激減しているということです。
 台湾では、1989年に「野生動物保育法」が制定され1995年に一覧が公示されタイワンオオクワガタも台湾の保護昆虫に指定されています。
 種、亜種の分類において以前はクルビデンス(curvidens)の亜種と位置づけられていましたが、ミトコンドリアDNAの遺伝子の解析によってグランデス(grandis)の亜種として分類されました。


 オオクワガタの仲間からタイワンオオクワガタと名前は付いていますが、

大きさ的には台湾での野外ではシェンクリングオオクワガタ(Dorcus schenkling)や

タイワンオニツヤクワガタ(Odontolabis siva parryi)、

タカサゴミヤマ(Lucanus maculifemoratus taiwanus)、

タイワンミヤマ(Lucanus formosanus)など

タイワンオオクワガタより大型のクワガタムシが多種にわたり生息しています。
 なお飼育下ではこの限りではありません。

 

 本種の形状の特異として前胸背板の形状の差異による2タイプが生息しているのは、一般によく知られている事ですが、2000年頃の虫屋の話では、北部タイプ、南部タイプ、もしくはAタイプ、Bタイプ、1型、Ⅱ型と色々な言い方をしてきました。

現在ではC(curvidens)タイプ、G(grandis)タイプと呼ばれて落ち着いたようです。
 なお学名の由来は 
オオクワガタ属

  • Dorcus(哺乳類のガゼルの意)
  • grandis(素晴らしい、偉大な)
  • formosanus(台湾(中華民国))

 との意味であるらしい。
 なおDorcusは複合語で使用した場合、例えばDorcus curvidensは「曲がっている歯」と意味するとの事です。

 

  さて今回の異常型ですが
 写真の個体は1998年にF1幼虫を手に入れインラインブリードを行なった結果として生まれています。
 形態として右の大顎は大歯型(長歯型)で正常なのに対し、

左の大顎が大歯型ではありますが長さが短く発達していない個体です。
  大顎以外の部位については特異な違いは無いように思われます。

昆虫のブリード繁殖において異常型や奇形は少なからず発生すると言われていますが、

今回のこの個体は未だ未発表のため記録の報告として記載します。

 

 なお横着極まりない性格ですので昔のままのDorcus curvidens formosanus
のままで標本ラベルは記載したままです。

台湾省高雄県六亀郷(Liukuei,Kaohsiung Pref.Taiwan)

 

台湾省高雄県六亀郷藤枝

20-April-2003羽化 F3 76㍉

(異常個体)

同上個体

 

台湾省高雄県六亀郷藤枝

06-July-2001羽化 F2 78㍉ 

(正常個体)

 

台湾省高雄県六亀郷藤枝

30-July-2001羽化 F2 50㍉

(正常個体)

 

台湾省高雄県六亀郷藤枝

31-March-2003羽化 F3 52㍉

(正常個体)