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夜行バスに乗って、兵庫県行きを決定した私。
バスの予約も済み、Xデーは徐々に近づいていきました。
前妻の、
「女に会いに行くんでしょ?突然一人旅とか怪しいもん」
と言う疑いの口撃を、何度も何度も交わしました。
クミちゃんに会いたいという強い気持ちが無かったら、途中で嫌になって旅も取りやめにしていた事でしょう。
クミちゃんとは、兵庫県に行ったらどこに行こうか?などと言う話をしました。
姫路城は第一候補でした。
夜行バスは、現地に早朝に到着します。
私は彼女に本題を切り出しました。
「あのさ……」
「どしたん?」
「いやさ、夜行バスって早朝に到着するじゃんか」
「うん」
「でさ、大体お店とか開店するのって、10時くらいでしょ」
「うん」
「だから、それまでの間ラブホでイチャイチャしたいんだけど」
少し前に、セックスのリハビリをしてと彼女自身が頼んで来たくらいなので、恐らく大丈夫だと思いました。
ドキドキしながら返事を待つ私。
彼女は意外とあっさりとこう言いました。
「ええよ」
「ほんとー。うん、じゃあ当日楽しみにしておくわ」
正に天にも昇る気持ちでした。
大好きな彼女にやっと会える。
やっと触れ合える。
しかしこの数日後、Xデーを控えた一週間後、突然クミちゃんとの連絡が取れなくなりました。
何度メールを送っても、返事は帰って来ず、何度電話をかけても空しくコールが鳴り響くだけでした。
困った私は、彼女のリアルな友人で同じSNSをやっている女性にメールをしてみました。
実は夜に三人で食事をしようと言うプランになっていたのです。
「突然クミちゃんと連絡が取れなくなってしまったのですが、彼女に何かあったのかご存知ですか?夜行バスの日にちも近づいてきていますし、なるべく早めに連絡をくれると嬉しいと伝えて下さい」
しかしこの彼女の友人に送ったメールも、返事が来る事はありませんでした。
私はクミちゃんにこうメールしました。
「どうしたの?会うのが突然怖くなったの?もしあれなら、ラブホとか行かなくても良いから、会うだけでも会ってくれないかな?」
返事無し。
「俺、当日クミちゃんが来てくれなくても、夜行バスに乗ってそっち行くよ。来なくてもずっと待ってるよ。良いの?」
返事無し。
この時、連絡が途絶える前の晩の会話を思い出しました。
「エルさんは、私と会ってどうしたいん?」
「どうしたいって?」
「その……つまり、結婚とか」
「うーん。仲良くなればそれもあるかも知れないけど、まだ一度も会った事無いしさ、とりあえず一度会おうよ」
「エルさんは私と会ってそれで満足するかも知れないけど、私の気持ちはどうなるの?」
「うーん……」
彼女は彼女なりに、会った後の事を悩んでいたのでしょう。
でも、それでも、会うと一度決めて約束したのです。
それにこちらは、気軽に会いに行ける立場では無いのです。
夜行バスの予約までして、前妻にも何とか行く許可を得たのです。
それをドタキャンは、いくら何でもあり得ません。
私は怒りと悲しみが入り混じったような、何とも言えない気持ちになりました。
さて、クミちゃんと連絡が途絶えてから、四日が過ぎようとしていました。
この夜も前妻の口撃がありました。
「もう少しで女と会えんじゃん。楽しみだねー」
前妻の口撃を何とか交わし続けられたのも、クミちゃんという存在があったからです。
しかし今や彼女の存在すら怪しくなってきました。
もしかしたら、兵庫県までわざわざ行っても、一人ぽつんとバスターミナルで時間を潰すはめになるかも知れません。いや、そうなる可能性の方が高いのです。
前妻のしつこく繰り返される口撃に、ぷつんと自分の中の何かが切れる感じがしました。
「うるせえな。行かなきゃいいんだろ!大阪には行かねえよ!」
私はそう吐き捨てると、周囲の物に当たり散らしました。
結局私は、翌日夜行バスをキャンセルしました。
この時のクミちゃんの気持ちは、未だに分かりません。
とにかく私は心から傷付きました。
しかし彼女を諦めきれなかった私は、その後も凝りもせず彼女に電話してしまうのです。
そうです。
彼女とはまだ終わらないのです。
※同じような批判コメントを付ける方が多いので、それに答えた各記事があります。
批判をする前に、まずそちらに目を通して下さい。→ 中傷、反論する者に答える。