空白の一日 | 店舗探し.comの過去コラム

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2011/2/01

何年ぶりかでインフルエンザに罹り、会社を休みました。

いわゆる鬼の霍乱というやつでしょうか。
起きているのやら寝ているのやら、熱に浮かされ全身を倦怠感
に襲われて、まさに夢かうつつかの数日でした。
 
つけっぱなしにしてあるテレビからは、昼間の情報生番組など、
専業主婦をターゲットとするのだろうプログラムが次から次と流
れていきます。
それらの番組には、普段、自分が見ている番組からは感じる
ことのできない空気と時間が、確実に存在しています。
 
外はやたらと寒いとのことでしたが、外気に触れず、暖房を
利かせた部屋の中で布団にくるまっている身には他人事で、
少しも実感はありません。

休日には遭遇したことのない、浄水器の訪問販売を断ったり、
同じく風邪で学校を休んでいた娘と、しんみり人生を語ったり
と、それはそれは不思議な時間を過ごしました。
 
仕事を軸に生活していると、プライベートタイムであっても、
どこか仕事を意識して過ごすことになってしまいがちです。

ハードな仕事が控えているから、今のうちに体を休養させて
おこうとか、難しいプロジェクトを前に、関連資料を求めて
古書店めぐりをするとか、休日の行動も、どこか仕事を順調
にこなすことに関連して計画されており、仕事が意識から
離れることはほとんどありませんでした。
 
しかし、風邪で休んだ数日は、スケジュール帳に火のついた
煙草を押し付けてぽっかり穴を空けたような、記載すべきこと
の何も無い、まったくの空白の時間でした。
 
ただでさえ限られた命しか与えられていない人間が、時に
風邪を引いてしまうのは、何の疑いも持たずにこなしている
日常に水を差し、頭を冷やして考える時間を与えるための、
神様の粋な計らいなのかもしれないなあ。
体調が回復した今、妙に納得した気になっているのです。