言霊と歩率賃料 | 店舗探し.comの過去コラム

店舗探し.comの過去コラム

会員様向けメルマガに掲載された過去のコラムを掲載しています。

2016年5月号

 

日本には言霊信仰があります。
言葉にはそのもの自体に霊力が宿っているとする考え方です。


良い言葉を発すると良い事が起こり、不吉な言葉を発すると

悪いことが起こると信じられているのです。
結婚式のスピーチでは「切る」「帰る」という忌み言葉を避け、

受験生の前では「滑る」とか「落ちる」という言葉を発しないよう

に気を使うのは、日本人の心性に今でも言霊信仰が根付いて

いる証拠でしょう。

「第三者の厳しい目で精査してもらう」

自らの政治資金の使途についての疑惑に舛添都知事は繰り

返しました。
「第三者」「厳しい目」「精査」。
3つの言葉に宿る霊力は知事にどういう運命をもたらすことに

なるのでしょうか。

オバマ大統領の広島訪問と17分に及んだスピーチは、心に

しみるものでした。
マスコミは概ね好意的な評価で紹介し、オバマ大統領が被爆者

と抱き合った映像は世界中へと配信されました。
一方、彼がノーベル平和賞を受賞するきっかけともなったプラハ

演説から今日までを振り返って、結局、オバマ大統領は、

核廃絶に対する実績を何も残していない、口先ばかりだとの批判

の声も上がっています。

所用があり東京都庁を訪ねました。
おりしも伊勢志摩サミット会期中だったため、警戒態勢は物々しく、

これでもかというほどの人数の警官や警備員が出入口や

エレベーター乗場などを固めていました。

誰もが恐れていたテロや大事件が起こることなく、無事にサミット

は閉幕しました。
何事もなかったという事実はニュースとして取り上げられることは

ありませんが、実はその陰で多くの関係者が黙々と貢献していた

ことは、しっかり認識しておくべきだと思います。

核廃絶への具体的な成果は今ある核を一つずつでも減らすこと

によってしか実現できません。
それでもやはり、核廃絶という目標を言葉にする意義は大きいと

思います。
オバマ大統領のスピーチに心動かされた人たちが氏の言葉を

他の人に拡散し、多くの人に平和貢献へのささやかな行動を促す

ことになるでしょうから。

「お客様第一主義」

社是や店是として大企業から個人商店までが掲げています。

言霊の力に期待し、始業時の朝礼で大声で復唱している企業も

たくさん知っています。
しかし、「お客様第一主義」は言霊という霊力に頼らなくても実現

できる手段を私たちは既に手にしています。

「歩率賃料」という制度です。

店に対するお客様の評価は、詰まるところは店の売上げに反映

します。
「歩率賃料」を採用するSCでは、お客様のニーズの変化に対応

できずに売上げが落ちた店は、いずれ淘汰され、新しいサービス

を提供する、より売上が高く見込まれる店に取って代わられて

しまいます。

移ろいやすく気まぐれなお客様の要望にきめ細かく対応し続ける

ことができる店は、顧客満足度を高い水準に保つことができ、

売上は最大化します。

 

最大化された売上げは店に繁栄をもたらし、従業員の幸福を実現

します。
最大化された売上げは同時に賃料も最大化しますから、SCにも

多くの利益を約束します。

「歩率賃料」というシステムは、お客様、店、SCのどこにも無理を

強いることはありませんし、欺瞞することもありません。
「歩率賃料」は、お客様、店、SCすべてに幸福をもたらす、究極の

ツールです。

「世界はこの広島によって一変しました。しかし今日、広島の子供

 達は平和な日々を生きています。

 なんと貴重なことでしょうか。

 この生活は、守る価値があります。それを全ての子供達に広げて 

 いく必要があります。この未来こそ、私たちが選択する未来です。」 

             (オバマ大統領「広島スピーチ」より)

言葉には霊力があります。


影響力を持つ人が発言する言葉によって世界は舵を切り方向を

変えることができます。


一方で、言葉だけでは実現できないこともたくさんあります。

それでも、無名の警備員が実施した手荷物検査やトイレへの巡回

といった一つ一つの行動は、その日の平和維持に確実にそして

具体的に貢献しています。

「歩率賃料」は今日も多くのSCで機能しています。


“彼”は、決して声を上げて自慢することはありません。

それでも黙々と「お客様第一主義」を具体的に実現しています。
“彼”にノーベル平和賞が与えられることはありませんが、ふてく

されたり、手を抜くことなどは決してないのです。