大変な時代!? | 店舗探し.comの過去コラム

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2011/11/22

なんとなく元気になった気がします。
 
『いつだって大変な時代』
    堀井憲一郎著 講談社現代新書
 
“いまは大変な時代なのか。

 そう聞かれたら、多くの人が「大変な時代だ」と答えるだろ
 う。そう。大変な時代だ。
  ・・・ただこれは東北で大地震があったから、ではない。
 それとは無関係に人はいつだってい まは大変な時代だ、
 と答えてるのである。
 そう答えてしまう心持ちについて考えた新書である。”
                  (まえがきより)
 
・気象庁では、梅雨入り宣言や梅雨明け宣言をあとから修正
 することがあるが、間違っていた梅雨明け宣言が何日だった
 かという記録は消してしまって残していない。
 
・ビデオテープはDVDに取って代わられた。
 ビデオテープでは踏んづけて壊してしまっても中からテープ
 を取り出して別の箱に入れ替えればふつうに再生できるが、
 DVDに傷がついて再生できなくなると、素人ではどうしていい
 かわからない。
 祈りながら丁寧に布で拭くしかない。

 DVDのほうが、ビデオテープより祈る回数が多くなったように
 思う。
 つまり、ビデオテープからDVDへの変化は、右から左への平行
 移動にすぎず、進化発展したわけではない。
 
・「西東京市」は漢字の上では「東京の西」という意味にはな
 らない。
 なぜなら「東京」とは「ヒンガシのミヤコ」であり、「西東京」は

 「京都から見て西東の方角にある新しい京」と いうことになる

 はずだが、「西東」などという方角はない。
 無茶な命名なのである。
 しかも少々、こっ恥ずかしい。
 
以上は、私達を自己解剖する手掛かりとして取り上げられたエピ
ソードの一部です。
こうした日本人の心性を見透かしたような観察がユーモラスに語
られていくうちに、

“「まさにいま未曾有の大変な時代」だからこそ大変な時代じゃ
 ないとおもって落ち着いてゆっくり考えればいいんでねえか”
                  (あとがきより)

と思えてしまうという、不思議な本なのです。