『遅咲きのヒマワリ』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/11/20

連続ドラマも佳境に入ってまいりました。
なかなかに力作ぞろいの今クールで、特に評判の高いのは

『遅咲きのヒマワリ~ボクの人生、リニューアル~』(フジテレビ系)

です。
高知県の四万十市を舞台とする群像劇です。

たまたま応募した四万十市の地域おこし協力隊員に採用されてやっ
てきた丈太郎(生田斗真)。
癌の免疫治療の研究職から、故郷の病院に臨床医として飛ばされて
きたかほり(真木よう子)。
地域おこし協力隊隊長で、地元商店街の金物屋の跡取りの順一(桐
谷健太)。かほりの姉であり、順一の高校の同級生である主婦のさ
より(国仲涼子)。
 
よそ者と根っからの土地っ子。

彼らを含めて7人の若い男女が、手ごたえのある生き様や、満足ので
きる居場所を求めてあがきます。
 
自然に恵まれ、愛着いっぱいの故郷でありながら、少子高齢化、過
疎化は急激に進み、シャッター通りと化した商店街は寂れる一方です。
地域住民もこうした事態に心を痛めているものの、半ば匙を投げて
諦めかけています。
 
ドラマでは、若者たちの頑張りによって商店街が活気を取り戻すなど、
地域おこしが一定の成果を上げられるのか、そして行き場を見失った
若者たちが、胸を張って生きられる居場所を見つけられるのか、と
いったことが今後の興味となっています。
 
『商店街はなぜ滅びるのか 社会。政治。経済史から探る再生の道』
           新雅史著 光文社新書
 
ドラマではない、実際の商店街について書かれている本書の真髄は、
商店街がなぜかくも寂れてしまったのかについて、歴史的な経緯を
丁寧に追い、正確に分析して見せたところにあります。

特に、商店街がコンビニによって内部崩壊に追い込まれたという解
釈は、なかなか説得力のあるものでした。

しかし、では商店街をどうやって再生すればよいのか、といった点
になると、残念ながら歯切れが急に悪くなり、規制強化など掛け声
は立派ですが、実現への道筋はなかなか見えてきません。
 
現実がままならないものなら、せめてドラマでは予定調和のハッピー
エンドを迎えてカタルシスを感じさせてほしいものです。
どこまでも続く灼熱の砂漠を歩き続けているときに見る夢は、やはり
満々と水をたたえたオアシスなのですから。
 
『遅咲きのヒマワリ』というタイトルに希望をつないで最後まで見
続けることにしましょう。
なお、タイトルバックで出演者たちが、MONGOL800のヒット曲「あな
たに」をカバーして歌っています。
これを聞くだけでも元気が出ること請け合いです。