4月3日金曜日午後3時 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/10/8

西暦33年4月3日金曜日午後3時。
 
磔刑によってキリストが亡くなった日時はこの日だと特定
されました。
 
『最後の晩餐の真実』
  コリン・J・ハンフリーズ著 太田出版
 
キリスト教の信者でもなんでもない私は、キリストが処刑
されたのは、何年かはともかく、13日の金曜日だとばかり
思っていました。

しかし、磔刑の正確な日時は、数多くの聖書研究家や歴史
学者によって研究されてきたにも関わらず、諸説が乱れて
決定されることがなかったのだそうです。
それは、キリストの磔刑に関する記述が、「マタイ」「ルカ」
「マルコ」「ヨハネ」の4つの福音書で微妙に異なっている
からでした。ある福音書の記述が真実だと仮定して別の福
音書を読み解くと、矛盾が生じてしまうのです。
 
本書では、西暦33年4月3日金曜日午後3時という日時が、4つ
の福音書の記述に矛盾することなく説明できることを圧倒的
な説得力を持って証明して見せます。
 
私たちは現在、当たり前のように太陽暦を用いていますが、
太陽暦が採用されたのは、明治五年(1872年)11月9日以降の
ことです。つまり、ほんの150年ほど前までは太陰暦で暮らし
ていました。

著者は、マタイ、マルコ、ルカでは太陰暦が、ヨハネでは公
式のユダヤ暦によって記述されたことを突き止めたのです。
 
磔刑の日には「月が血のように赤くなった」との記述があり
ます。

当時、「月が赤くなる」とは月食の様子を表現する時に使っ
ていたことを知った著者は、最新の天文学の手法によって、
諸説ある磔刑の日付の中で、月食が起きたのは西暦33年
4月3日以外にないことを突き止めます。
 
1日が午前0時に始まり午後12時に終わるというのは、私たち
にとっての常識ですが、1日が夜明けから翌日の夜明けまでと
していた時代もあり、最後の晩餐が、西暦33年4月1日の水曜
日であれば、全ての福音書の記述を矛盾なく説明できること
を証明しました。
 
ち密な謎解きの過程は、犯人の目星をつけてから追い詰めて
いく、刑事コロンボの手法に似ていてスリリングです。
ネタばらしをしても、この推理小説よりも推理小説らしい本
書の魅力が減殺されることはないのです。