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2011/10/6

身長167cm(公称) 体重69kg 平均球速130km/h台中盤
 
生まれ持った体格や才能に恵まれなくても、一流になれるのです。 
 
『頭で投げる。』 
     石川雅規著 ベースボル・マガジン社新書
 
著者の東京ヤクルトスワローズ石川雅規投手は、今年5月14日の
横浜ベイスターズ戦で、史上128人目の通算100勝を達成しました。

本書は、未熟児として生まれ、平均的な日本人としても小柄な部
類に入る石川投手が、どのようにして一流投手の仲間入りを果た
したのか、その軌跡を、主に技術習得といった側面から書き起こ
したものです。
 
打撃の神様川上哲治さんは言いました。

「ボールが止まって見える。」
 
天才長嶋茂雄さんは言いました。

「ボールがこう来る。それをパッと打つ。」

体力に恵まれた剛速球投手ならばこう言うでしょう。
 
「ど真ん中をめがけて思い切り速い球を投げ込む。」

並外れた才能を持ったスーパーマンには誰もが憧れますが、ごく
普通の凡人に、彼らの真似はできません。

体力に恵まれない石川投手は長い考察と経験、修練を通してある
独自の境地にたどり着きます。
 
“「ピッチャーの仕事はストライクを投げることである。」

 ただし、バッターの手元に近いところで変化させて芯を外した
 い。バットの芯さえ外すことができれば少なくともホームラン
 を打たれる確率は一気に低下するのです。”
 
石川投手はプロ9年間のうち4シーズンで年間200本を超えるヒット
を打たれ、その数字はいずれもその年のリーグワーストでした。
それにもかかわらず新人賞や最優秀防御率というタイトルを獲得
できたのは、プロで生き抜くために磨き上げた彼独自の芯を外す
技術によるのです。
 
特別に際立った能力に恵まれなくても、精一杯頭に汗をかいて考
え抜き、一方で地道な技術訓練を諦めることなく継続していけば、
その世界で成功を収めることができるにちがいないと、勇気が湧
いてきます。
 
本書がピッチャーの技術書の要素がありながらも、門外漢の私た
ちの心を打つのは、ごく普通の人間が成功を収めていく、身近な
シンデレラストーリーとして読めるからなのです。
野球には無関心という方も是非、ご一読を。