シークレットサンタ | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/10/3

昔、貧しさのあまり、娘を身売りさせなければならないところ
まで追い詰められた一家がありました。

それを知った彼は、真夜中にその家を訪れ屋根の上にある煙突
から金貨を投げ入れました。暖炉には靴下がぶら下げられてい
たため、金貨は靴下の中に落ちました。
翌朝、一家は靴下に金貨が入っているのを見つけ、娘は身売り
を避けられました。

彼の名前はニコラウス。

この逸話が、サンタクロース伝承の元になったのだとされてい
ます。
以来、サンタクロースはクリスマスには世界各地にやってきて、
子供たちがぶら下げた靴下に、プレゼントを配って回るように
なりました。

もちろん日本にもサンタクロースはやってきます。時には子供
の父親の姿に変身して、またあるときには宅配ピザ屋の配達人
に身をやつしながら。

かつてアメリカには、「シークレットサンタ」と呼ばれる謎の
人物がいました。
毎年クリスマスになるとミズーリ州のカンザスシティーに現れ
て、貧しく困っている人々に現金を配って歩くのです。

ところが、、2006年11月にその正体がわかります。

ラリー・スチュワートさんという実業家でした。
ラリーさんは食道がんを宣告され余命が幾ばくも無いことを悟
り、身近な人への思いやりを広げて欲しいというメッセージを
伝えるために、匿名で行ってきた禁を破って名乗り出たのです。

ラリーさんがシークレットサンタとなったきっかけは、彼が23
歳の時に体験した出来事にありました。

当時、ラリーさんは、会社が倒産してしまったために路頭に迷
っていました。
あまりの空腹に耐えきれず、ふらふらと入ったレストランで、
取り憑かれたように注文してしまいます。請求書を出されてよ
うやく我に返り、お金を持っていないことに気づきました。
なんとかその場を取り繕おうとポケットの中を探すふりをした
りしながらも、警察に突き出されても仕方がないとあきらめか
けていました。
その時、一人の男性店員がラリーの横でしゃがんで

「20ドル札が落ちていました。」

と渡してくれたのです。
実は、ラリーさんの様子を察した店員が、警察に突き出すので
はなく、自らの過ちに気づき、他人への優しさを知って欲しい
と思って、自分の20ドルを差し出したのでした。

無事に支払いを終えたラリーさんは、その日を境に運命が大き
く動き始めます。紆余曲折はあったものの、ついには実業家と
して成功をおさめたのでした。

日本でも、数年前に「伊達直人」を名乗る人物から児童養護施
設にランドセルなどが送られたことがありました。
タイガーマスク現象などと呼ばれましたが、その後、「伊達直人」
はばったり現れなくなり、もはや忘れられようとしています。

しかし、「シークレットサンタ」の方は、今でも全米各地に出
現しては現金を配っているそうです。
ラリー・スチュワートさんの思いはしっかりと受け継がれたと
いうことでしょう。