鎮守の森 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/8/27

東日本大震災から1週間後、イオン多賀城店で調査が行われました。

1993(平成5年)年に「イオン ふるさとの森づくり」の一環で植林した

タブノキをはじめとする木々は、いずれもそのままの状態で元気な姿を残していました。

大津波で流されてきた大量の自動車を受け止めてなお倒れなかったのです。
著者が説く「潜在自然植生」(その土地に最も合った本来の木を植える)の、一つの成果です。
 
『森の力 植物生態学者の理論と実践』
  宮脇昭著 講談社現代新書
 
広島に原爆が投下されて4年後、雑草生態学の研究で爆心地から

1キロ離れた神社を訪れた著者は、鎮守の森があった場所でタブノキ

が新芽を出しているのを発見します。

鎮守の森というのは、かつては神社を囲むようにして必ず存在した

森林です。
その地域の本来の植生、いわゆる原植生を残していることが多く、

周辺の自然が破壊されていることが多い現在では、鎮守の森が、

かつてのその地域の自然を知るための数少ない手掛かりなのです。
 
「お前はまだ人の話を聞くな。
 誰かが話したことの又聞きかもしれないぞ。

 お前はまだ本を読むな。
 そこに書いてあることは、誰かが書いたやつの引き写しかも
 しれないぞ。

 話はいつでも聞けるし、本はいつでも読める。
 大事なことは、部分的あるいは結論めいた話や本にあるので
 はない。

 見たまえ、この大地を。
 見たまえ、この自然を。

 ホンモノの命のドラマが目の前で展開しているではないか。
 お前はまず現場に出て、自分の体を測定器にすればいいのだ。
 現場で、目で見、匂いを嗅ぎ、舐めて、触って、調べろ。」

修業時代の著者が、恩師であるドイツのチュクセン教授から言われた

心に残る言葉です。
 
著者は鎮守の森の徹底的な調査を通じて、鎮守の森のように長持ち

する「ふるさとの森」を作る必要性を痛感します。
そして、土地本来の植生をポット苗を用いて植える「宮脇方式」を考案

し、85歳となった現在でも精力的に植林指導をおこなっています。
 
年も豊年 満作で
村は総出の 大祭
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
夜まで賑う 宮の森
 
『村まつり』2番の歌詞です。
「宮脇方式」による植林で被災地域の「ふるさとの森」が少しでも早く

再生し、笑顔の村祭りが復活することを切に祈ります。