体重129.3㎏のヒーロー | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/7/17

今から100年後の9月5日に生まれる、私たちのヒーローとは誰で
しょう?

身長129.3cm、体重129.3㎏。
海外に初登場したときの名前は「シャオティンタン」。
嫌いなものはネズミ、好物はどら焼き、と言えば・・・

そう、ドラえもんです。

1969年12月に連載が始まり、以来1996年までおよそ4分の1世紀
にわたって描き続けられた『ドラえもん』には、短編作品だけで

1327もあります。

“こんなこといいな、できたらいいな”ということを次々と実現し、

“あんな夢こんな夢”をかなえるために登場したひみつ道具は

1958個にも及びます。

【もしもボックス】というひみつ道具があります。

電話ボックスの中で、受話器に向かって「~の世界」と言って
ボックスを出るとその世界が実現しているというものです。

ジャイアンのリサイタルで音痴の歌を聞かなくてもすむようにと、

のび太は【もしもボックス】で「音のない世界」を注文します。


音がない世界ではコミュニケーションはすべて筆談になります。
しかし、不思議なことに音痴な歌の文字はそれを見ただけで

吐き気を催すほどで、結局目的は果たせなかったのです。

あやとりが得意なのび太は【もしもボックス】を使って、あやとり

の巧拙が世間の評価や社会的な地位を決める世界にしたことも

あります。
のび太は一躍ヒーローになります。
しかし、手がグーであやとりが一切できないドラえもんが怒って

元の世界へと戻してしまいます。

他にも「凧揚げと羽根つきのない世界」「お金のない世界」

「かがみのない世界」など、【もしもボックス】でいろいろな世界を

試してみましたが、どの場合も、何か別の都合の悪い事情が

生じてうまくいかず、元の世界に戻す羽目になるのです。

原発も税金もない、労働も病気もない、戦争や国境もない世界
が実現したらどんなに素晴らしいことでしょう。
【もしもボックス】でぜひ試してみたいものだと思います。

しかし、すべての夢を実現して、何の心配もない世界というのは、

ひょっとすると、案外味気がなくて、退屈なのかもしれません。

一代で富を築きあげた大富豪が、食べることにも事欠いていた
貧乏時代にまた戻りたい、などと述懐しているのを、よく耳にする

からなのでしょう。