2012/5/28
プロ登山家の竹内洋岳さんが、ダウラギリ(8167メートル)の登頂に
成功しました。
これでヒマラヤ8000メートル峰全14座を制覇したことになります。
日本人としては初の快挙です。
1991年シシャパンマ(8027メートル)に登頂して以来、足かけ22年での
偉業達成です。
途中、2007年にはガッシャーブルムⅡ峰(8035メートル)で雪崩事故に会い、背骨と肋骨を折るという重傷を負ったにもかかわらず、翌年には再挑戦して成功しました。
江戸時代、ある村に若い働き者の百姓がいました。
年老いた母親との二人暮らしで、貧しいながらも仲良く楽しく暮らしていました。
あるとき彼は、成功して大金持ちになった幼なじみから大金をもらいます。数えてみたら99両ありました。
あと1両あればちょうど100両になります。
彼は1両を貯めるためにと、今まで以上に精を出して働くようになります。これまでのようにのんびりしていては、いったいいつまでかかるかわかりません。
焦って追い立てられるように働くうちに彼の表情から笑顔が消え、母親
にも暴言を吐くようになりました・・・。
竹内さんが大事故で重傷を負っても、断念することなく再挑戦したのは、10とか13など中途半端な登頂数では終わりたくないとの執念があったからでしょう。
チェーン店の開発担当者の方からお話を伺うと、47都道府県全部に出店することが目標だとよく言われます。
経済合理性云々ではなく、とにかく空白県があるとどうにも落ち着きが
悪くてね・・・と言われると、そんなものかと納得してしまいます。
働き者の百姓の彼は結局、99両すべてを金持ちの友人に返してしまいます。
あと1両を得るために失ってしまうものは、たとえ100両の大金でも賄う
ことができないのだと気づいたからです。
目標を立てるのは難しいものです。
ゴールが見えればより多くの力が湧いてきて、さらに頑張ることもできるでしょう。
しかし、数字を達成することだけが目的化してしまい、余裕を失ったまま突き進み続けていると、もっと大切なものを失くしてしまうかもしれないのです。