最強のアリ | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/5/14

ひとりひとりの力は弱くても、多くの人が団結して力を合わせれ
ば強くて大きな敵をも倒すことができる。
 
こうした教訓を導くために、よくアリのコロニーが引き合いに出
されます。

女王アリを中心にしたコロニーでは、働きアリ、兵隊アリ、雄ア
リがそれぞれの役割を整然とこなして社会を維持し、1億年以上
もの間、滅びることなく生き残ってきました。
 
生き残るだけではありません。
アリの一部には、その版図を世界中に広げ、人間との覇権争いに
参加する日を虎視眈々と狙っているかのような種類も存在するよ
うです。
 
その筆頭にいるのが、アルゼンチンアリです。

世界の侵略的外来種ワースト100選定種で、日本の侵略的外来種ワ
ースト100選定種でもあり、特定外来生物にも指定されています。
アルゼンチンアリは攻撃性が強く、他種のアリの巣を見つけると
これを襲って、その巣の成虫や幼虫の全てを食べてしまいます。
在来種を駆逐するだけでなく、ハチの巣や天敵であるはずの鳥の
巣まで襲ってヒナを殺戮してしまいます。
 
アルゼンチンアリがさらに厄介なのは、別のコロニーを形成する
アルゼンチンアリとは戦うことなく友好関係を築き、場合によっ
てはEUのような連合コロニーを形成してしまうところにあります。
ヨーロッパやオーストラリアでは100km以上もある超巨大コロニー
も報告されています。
 
しかし、アルゼンチンアリでさえ駆逐してしまうという、さらに
強力なアリがいます。

ヒアリです。

ヒアリは極めて強い毒針をお尻に持っています。体長がわずか数ミ
リしかないのに、毒性は極めて高く、さらに集団で襲ってきます。
北アメリカだけで毎年8万人近い人が刺され、特にアレルギー体質
の人は重症となり、毎年100人近い人が死亡している殺人アリなの
です。
 
ヒアリは、アルゼンチンアリのように別のコロニーと単に連合する
だけではありません。
自分よりも弱いコロニーの卵を略奪して連れ帰り、自分のコロニー
の一員にしてしまいます。

侵略された女王アリも、わが子を追いかけていき、侵略者のコロニ
ーに住むようになります。

こうして周辺のコロニーは、強力なコロニーによって統一されます。
征服されたコロニーに居た女王アリも含めて、統一コロニーに住む
すべての女王アリは卵を産みます。

しかし、その後、複数いる女王アリは、1匹を除いてすべて働きア
リによって殺されます。自分の母親を殺す働きアリもいるそうです。

こうして勝ち抜いた女王アリが君臨する、ヒアリの統一コロニーは、
勝ち抜き戦を戦いつつ、強大な帝国主義を推し進めていくのです。
 
ヒアリは、まだ日本では確認されていませんが、オーストラリア、
ニュージーランド、マレーシア、台湾、中国南部など環太平洋諸国
に急速に分布しており、日本がその軍門に下る日も近いかもしれま
せん。
 
自分たちはちっぽけで弱い存在だと強く自覚し、小異を捨てて大同
につくしなやかさをもって、ちっぽけな者同士で連携して、短期間
に連携集団の規模を大きくすること。

巨大な征服者が君臨する世界を、小さいものが互角以上に生き凌い
でいくための、これもアリからの教訓なのです。