吉祥寺と彼岸 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/3/19

 

明日は春分の日です。

 

春分では太陽が真東から昇り真西に沈みます。

 

浄土教では、極楽浄土を想像するための十六の方法が説かれて

います。

その一つとして、西に沈む太陽を見て極楽浄土を想う「日想観」が

あります。

 

真西に沈む太陽に礼拝して極楽(西方)浄土に思いをはせたの

が、彼岸の始まりとされています。

彼岸の期間に「彼岸会」という法要が営まれることから、彼岸

にはお墓詣りに出かける習慣もできました。

 

吉祥寺」といえば中央線沿線でも特に人気の高いエリアです。

 

アトレや東急百貨店、パルコなど商業施設だけでなく、サンロー

ド、ハーモニカ横丁といった商店街にも活気がある数少ない繁盛

地域です。

 

しかし、吉祥寺には「吉祥寺」というお寺はありません。

1657年、江戸時代最大という明暦の大火、いわゆる振袖火事に

よって焼失し、移転してしまったからです。

 

「吉祥寺」の移転先は文京区本駒込です。

店舗探し.comのオフィスが面している本郷通りをJR駒込駅方面に

2kmほど進むと右手にあります。

 

かつて吉祥寺には、僧を寄宿させて修学させる学寮が27寮もあり、

享保年間には学僧は1000人を超え、府内随一を誇りました。

現在の駒澤大学の前身になります。

 

吉祥寺の広い境内には、恋人に会いたい一心で放火をして火あぶり

の刑となった「八百屋お七とその想い人吉三郎の比翼塚」があります。

 

露座の大仏の先を右手に進むと、旧幕臣として明治新政府に最後

まで抵抗した「榎本武揚」の墓があります。

 

他にも、薪を背負って本を読む、おなじみ二宮金次郎(尊徳)の像

と供養墓。

 

「チイチイパッパ チイパッパ」の『雀の学校』や『靴が鳴る』、

『叱られて』などの童謡詩人「清水かつら」や『かごめの水兵さん』

の作曲家「河村光陽」らの墓があります。

 

「彼岸」は、人々が欲や煩悩から解放された世界を指します。

 

一方、私たちが住んでいる世界を「此岸」といい、欲や煩悩にまみれ

た世界です。

さまざまな苦悩に堪え忍ばねばならないこの世界を、サンスクリット

語では「サハー」といいます。中国語では「娑婆」。世間の事を

俗に「しゃば」というのは、ここからきています。

 

人は死ねば「彼岸」に渡るとされます。

 

人生も半ばを過ぎると、川を渡らなければならない時期が少しずつ

近づいてきます。

私などは、いたずらに年を重ねるばかりで、いまだに迷いや煩悩に

絡め取られて断ち切ることができず、未練がましくもがいています。

 

そんな自分自身や日常生活を反省するためにも、明日は久しぶりに

お墓詣りに出かけようと思います。

「彼岸」へと渡るウォーミングアップとしては、少々遅きに失した

きらいがあるかもしれませんが・・・。