弁当屋とPUFFYと | 店舗探し.comの過去コラム

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2010/2/19

リストラされたものの、思うような職につくことが出来ない
中年男が、暇つぶしに歩き回る公園で、ふとどんぐりを拾って
きて食べてみる。

それが意外に美味しかったことで、彼は野生植物を食べる楽
しみに目覚めます。

タンポポ、ミツバ、ノビル、フキなど、手に入る野草を、天
ぷらやおひたし、きんぴら、佃煮と、調理法も工夫していき
ます。

川釣りを覚えて、オイカワやマブナ、ウナギまで手に入るよ
うになった時、彼はこのタダで手に入る食材を使って弁当屋
さんを開くことを思いつきます。

廃業したばかりの弁当屋の調理場を、利益配当することで借
りることにも成功して、彼は「ひなた弁当」と名付けた弁当
を、路上で販売するようになるのです・・・。
 
『ひなた弁当』 山本甲士著 中央公論新社
 
深刻な事態に追い込まれた主人公を扱っていながら、タイト
ルにも現れているようにどこかのどかで、ほのぼのとした雰
囲気の漂う小説です。
 
ビジネスのヒントというのは、身近なところにいくらでも転
がっているのかもしれません。

主人公を真似て、公園や河原をうろうろして、キレイな石で
も拾ってくる、緑の葉っぱや名もなき花を摘んできてベラン
ダに放置しておき、乾燥したら焙じてブレンド茶にして喫し
てみる。

長年整理したことがない押入れや天井裏にある、出自不明の
妙な品物に、もっともらしいキャプションをつけて、ネット
オークションに出品してみる・・・。
 
眉間にしわを寄せて、髪をかきむしりながら捻り出すような
ことでは、おおらかで魅力に富んだアイデアを生み出すこと
は難しいのではないでしょうか。
 
「お互いに、こんないい加減でいいのか、ちょっと違うんじゃ
ないかと思いながらも、まあどっちでもいいかと妥協しあって
いるうちに、ゆるゆるな感じでできてしまったんです。」

『アジアの純真』を始め、PUFFYの作曲を担当した奥田民生
さんが、作詞を受け持った井上陽水さんとの共同作業につい
てこんな話をしていました。
 
バンクーバー五輪でも、いれ込みすぎて肩に力が入ってしま
った選手は、思うような結果を出せていないようです。
 
ソファに寝転び、せんべいでもボリボリ食べながら、つけっ
ぱなしのテレビを見るともなく見ている。

・・・あなたの頭にビッグビジネスのアイデアが天啓のよう
にひらめくのは、そんな瞬間かもしれません。