『昭和物語』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2011/2/18

明治は遠くなりにけり。
 
昭和40年代、明治100年に当たる頃に、至るところで使われた
フレーズです。出典の、

「降る雪や 明治は 遠くなりにけり」

を、中村草田男が詠んだのは昭和6年で、明治時代が終わって
約20年後のことでした。
 
『昭和物語』
   監督 村上匡宏
 
昭和38~39年を舞台にしたアニメ映画です。
東京蒲田で町工場を経営する山崎一家を巡る、ハートフルスト
ーリーです。
 
昭和39年と言えば、東海道新幹線が開通し、東京オリンピック
が開催されるなど、日本列島が高度成長に沸きたち、活気に
満ちていた時代です。

映画に登場する山崎製作所は、新幹線のブレーキやオリンピ
ックの聖火台の部品を作っていて、仕事は順調です。いつも納
期に追われており、好景気の恩恵を受けているようです。
 
東海道新幹線が開通して大阪がぐんと近くなり、世界への玄関
羽田空港までモノレールも開通しました。

さらに、世界中の国々から人が集う東京オリンピックがまさに
開催されようとしているにも関わらず、登場人物たちが実感を
持っている世界は、日本を離れるどころか、蒲田とその周辺に
限られているのです。
彼らの意識の上では、大阪ですら、まだほとんどの人が訪れた
ことのない異郷の地としてあります。

山崎家の人たちが、蒲田という町の中だけで一生を過ごすこと
になっても、何の不思議も感じない時代だったのです。
 
平成となった現在、たとえ蒲田の家に引きこもっていたとして
も、ネットを通じていつでも世界とは繋がっています。

アメリカ発のリーマンショックに山崎製作所が無関係でいられ
るはずはありません。
その余波は、経営を直撃したことでしょう。
 
アメリカだけではありません。
もはや、名前も知らないような小国がくしゃみをしただけでも、
世界中がインフルエンザに罹ってしまうかもしれません。
 
アフリカの政変を、対岸の火事だとのんびり眺めているわけに
はいきません。
政変の火種はあちこちに飛び火して、いずれは私達の生活にも
重大な影響を及ぼすものと、強い危機感を持たなければいけな
いでしょう。
 
グローバル化は加速度的に進み、世界はどんどん近づいていま
す。
かくして、時代は轟々と、怒涛の勢いで流れ去っていくのです。
 
昭和は遠くなりにけり!