金塊とフェルメール | 店舗探し.comの過去コラム

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2012/2/17

日本人はフェルメール好きです。
現在、東京では

『フェルメール光の王国展』
『フェルメールからのラブレター展』

という二つの展覧会が開催されています。

前者では現存する全フェルメール作品を最新のデジタルマスタ
リング技術によって再現するという試みを、後者では≪手紙を
読む青衣の女≫の日本初上陸を目玉にしています。

≪手紙を読む青衣の女≫の青衣には、フェルメールブルーの本
領が発揮されています。

フェルメールブルーには天然ウルトラマリンが贅沢に使われて
いますが、これはラピスラズリを原料とした顔料です。

ラピスラズリは和名では瑠璃(るり)と言います。
大変高価な半貴石で、グラム当りの単価では金の価格に匹敵す
るほどなのです。

鹿児島県伊佐市にある菱刈鉱山は、商業規模で操業している、
日本で唯一の金鉱山です。
菱刈鉱山の金の年間産出量は7.5トン。これは世界におけるシェ
アの僅かに0.3%にしかなりません。

黄金の国ジパングも、今は昔なのです。

地質学的に言うと、地球上にある採掘可能な金の埋蔵量は
1辺が20メートルの立方体に収まる程度と考えられています。
たったこれだけしかない限りある貴重な資源ですから、その
価値が絶対的な尺度として使われているのです。

ラピスラズリをふんだんに使って描かれた≪手紙を読む青衣の
女≫の価値は数十億円とも100億円以上とも言われています。
もっとも実際に売買の対象になることは無いでしょうから、
値段などつけられないというのが正しいでしょう。

フェルメールの作品は全37点です。
20mの立方体に収まる金とともに、これ以上増えることはあり
ません。

国家が自ら保証する国債や紙幣という目に見えない【信用】
を歯止め無く増大させたために、その信頼が世界的に揺らい
でいます。

限りある物の価値はますます重要になっていくでしょう。