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2011/2/16

自転車通勤に切り替えて数年経ちます。
業務の分担上、内勤が多く、外に出ることもあまりありませ
ん。

先月の「ビジネスフェア」と先週の「店舗開発ショー」の
現場当番で、ラッシュアワーを久しぶりに経験しました。
担当だった都合4日間のうち3回も電車のトラブルで遅延し、
時間通りに到着することができませんでした。

なんと運の悪いことだとぼやいていると、他のスタッフ達は、
以前に比べると電車の遅延は確実に増えている、と口を揃え
て文句を言っていました。

データを調べたわけではありませんので、本当にトラブルの
件数が増えているのかどうかはわかりません。
 
しかし、先月にはJR東日本の新幹線が、運転できなくなると
いう大きなトラブルが、立て続けに発生しました。
目覚しいテクノロジーの進歩の割には、遅延トラブルは減って
いないということではないでしょうか。
 
技術の進歩は、細部を拡大して粗を見つけ、改良・改善する
ことで実現していきます。

発明当初は、昆虫の複眼を観察するのがせいぜいだった顕微
鏡ですが、電子顕微鏡の発明と改良によって、現在では原子
レベルの大きさのものまで見ることが出来るようになってい
ます。
 
しかし、「木を見て森を見ず」のことわざにもある通り、
顕微鏡で原子の顔を覗き込むことに夢中で、自分の手に蚊が
止まって血を吸っているのにまるで気がつかないような事態
が頻発しているのではないでしょうか。
 
先月、5つの新幹線が止まってしまったトラブルも、原因は
システム容量不足とのことでした。
導入以来、15年間で列車の本数が4割以上も増えたのに、シス
テム容量を全く変更していなかったのです。
 
政界で繰り広げられているどたばた劇や、大相撲の八百長問題
の大騒ぎにも、どこか、木ばかり見て森を見ていない空気が蔓
延しているようで不安を覚えます。
 
重箱の隅を突いているうちに、手を滑らせて重箱そのものを
ひっくり返してしまう、そんな空恐ろしい未来を想像して
しまうのです。