野生児 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/2/12

「ワーオ ワーオ ワオー ボバンババンボン ブンバボン」
 
これが『狼少年ケン』の主題歌冒頭であるとすぐにわかった方
は50代以上でしょう。
『狼少年ケン』はアフリカのジャングルでオオカミに育てられ
たケンが活躍するアニメです。
 
ケンのように、なんらかの原因により人間社会から隔離された
環境で育った少年・少女のことを野生児と言います。

狼少年や狼少女のように、獣が人間の赤ん坊をさらったり、
遺棄された子供を拾ったりして、そのまま動物によって育てら
れた場合、子どもは育てられた動物と同様の振る舞いをするよ
うになります。
 
臨界期とよばれる年齢を過ぎると、自然な言語能力の習得が
不可能になる、という仮説を「臨界期仮説」と言います。

出生から思春期(12~15歳)までの時期に、野生児のように人
間社会から隔絶されて、言語を習得しないまま育った子供は、
後に教育を受けても、言語能力、特に文法に従った文を作る
能力については著しく劣ることが知られています。
 
1991年にウクライナで保護されたオクサナ・マラヤさんは、
幼児期にアル中の両親からネグレクトされ、長いこと家の裏
にある犬小屋で過ごしました。

8歳で、付近の村人に発見された時、大半の時間を犬ととも
に過ごしてきたため、四つ這いで歩き、犬さながらに首を
振りたてて吠えるのでした。

人語はほとんど話すことが出来ず、人間の持つ社会性や情緒
性も欠如していたため、保護された後、精神障害者のための
施設に入れられました。
 
子どもは、社会的、精神的発達を正常に行うために、少なく
とも一人の養育者と親密な関係を維持しなければならないと
する理論を「愛着理論」といいます。

例えば子ザルを群れから引き離し、檻の中に一頭だけで飼育
し、後で群れに戻しても、歩行や木登りがうまくできず、
回復することもありません。
 
社会に出て、初めて就職した企業でどんな教育を受け、どの
ように働いたかということが、その後の企業人としての行動
様式に大きく影響を及ぼすことがあるように思います。

お辞儀の仕方や電話の取り方は、最初に身についたスタイル
が他社へ転職してもなかなか変わらないものです。
仕事の進め方、残業に対する考え方も、最初の会社の時どう
だったかということに大きく影響されるようです。
 
転職に対する抵抗が減って久しくなりました。

勤務していた会社が多いことを恥じるよりも、多くの会社か
ら評価を受けた証拠だと胸を張る時代なのかもしれません。

採用する側が、履歴書から彼の働きぶりを見極めようとする
際には、彼が最初に勤務した会社の社員を観察するのがいい
のかもしれません。

今度こそは、と意欲を見せる志望者が「狼少年」でないのか
どうかを見極める眼力が、企業の将来を左右するのです。