惚れてもない女の悪口を言うな | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/7/19

『俺たちの旅』『金曜日の妻たちへ』『男女7人夏(秋)物語』
『29歳のクリスマス』・・・。
どれも忘れられない名作でした。

『来て!見て!感じて!』
  鎌田敏夫著 海竜社

人気脚本家が、自らの作品で使ったセリフや心に残る言葉をテーマ
に綴ったエッセー集です。
本書のタイトルは恋愛ドラマに定評のある著者のセリフから取った
かと思いきや、『伊勢神宮の智恵』(河合真如著)という本の中に
書かれた前神宮大宮司の言葉なんだとか。
伊勢神宮についてこんなにも簡潔で素晴らしい言葉に出会ったこと
がないからとタイトルにまで採用したようです。

「おしてもだめならひいてみな。」

水前寺清子さんのヒット曲で、星野哲郎さんによる、この有名な
フレーズは新宿歌舞伎町のひっそりとした路地裏で作られたそうです。
屋台で飲んでいた星野さんがトイレに行ったのに、ドアがなかなか
開かない。その時に屋台にいた女の人が叫んだのです。
「押してダメなら引いてみな!」

「惚れてもない女の悪口を言うな。」

“自分とは関係のない、関わりを持ちたいとは思わないことで、あれ
 これ言うな、そういう意味のセリフです。批判のための批判はする
 なという、なかなか含蓄のあるセリフなのです。”

プロ野球の監督采配を批判し、ドラマの俳優の演技に文句を言い、
他社のビジネスをけなし、自国の政治家をバカにする・・・。
惚れてもない女の悪口ばかり言っている自分が恥ずかしくなります。

「プライドなくして生きていけるか。」

『29歳のクリスマス』で山口智子さん演じるヒロインが仲村トオル
さん演じる金持ちの御曹司に食ってかかります。
「私は自分の足で生きてきたの。傷をいっぱい作ってきたの。生まれ
てから一度も自分の足で歩いたことのない人間に尻尾を振ってついて
いくかっていうのよ!」
カッコいい女性はこのころから増えてきた気がします。

「淋しさを知っている人間だけが、笑って生きる楽しさも知っている。」

『俺たちの旅』のラストに流れる言葉で、著者が一番好きな言葉だそ
うです。
ユーモアの精神は、つらい状況に遭遇した人間の足掻きの中から生ま
れてくるのかも知れないと言います。
そして、著者は動物生態学の研究家、ジョセフ・W・ミーカーの『喜劇
としての人間』の言葉を紹介しています。

「世界は善と悪、人間と自然、真実と虚偽などが、対立相手を滅ぼそ
 うと戦っている戦場である」

悲劇的人間はこう考えます。

「生命を賭けた闘いの代わりに、生命を賭けないですむ闘い方を見つ
 け出そうとし、どんな状況でもまず生き延びることを考える」

喜劇的人間は、こう定義されます。

自然破壊や環境問題は、悲劇的人間による悲劇的思考が生んだものです。
生命を脅かすこうした問題に晒されている現在、つらい状況に遭遇し
た私たち自身が喜劇的人間として振る舞うことが生き延びていくため
には必要なのかもしれません。