禁酒法と天才と | 店舗探し.comの過去コラム

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2014/1/7

『老人と海』
『響きと怒り』
『長いお別れ』

いずれもアメリカを代表する作家の作品です。

上から順に、アーネスト・ヘミングウェイ、ウィリアム・
フォークナー、レイモンド・チャンドラーのそれぞれ代表
作です。
この作家たちは、いずれもアルコール依存症だったことが
知られています。

1920年から1933年まで、アメリカ合衆国では禁酒法が施行
されていました。
禁酒法では、消費のためのアルコールの製造、販売、輸送
が全面的に禁止されていました。
実はこの時代と、上記の作家が活躍した時代とは重なって
います。

禁酒法は「高貴な実験」と揶揄されるほどその実効性が疑
問視されていました。

実際、飲酒そのものが禁止されていたわけではなかったた
め、多くのアメリカ人が、飲酒のために国境を越えて、カ
ナダやメキシコに行きました。

非合法となって地下に潜った酒場は無数にあり、結果的に、
アル・カポネなどギャングの跳梁を促しました。
違法なアルコールの売上で、彼らは莫大な収益を上げるこ
ととなりました。

暦の巡りから、年末年始の休暇が長期となった企業も多く、
明日の仕事を心配せずにお酒が飲めるとあって、つい飲み
すぎてしまったという方も多かったことでしょう。

百薬の長とも呼ばれ、適度な飲酒は、ストレスの緩和や食
欲増進に効果を発揮するため、健康にプラスに働き、寿命
の延長にもつながると疫学的研究でも認められています。

酔いの高揚感に浸りながら、もしくは執筆後の飲酒を楽し
みにして創作意欲を掻き立てながら上記の傑作は完成した
のかもしれません。

しかし、大量の飲酒は、上記3人の作家の心身の健康を害し、
直接間接の原因となって彼らに死をもたらしたのです。

漫画家の吾妻ひでおさんが、ご自身の経験を赤裸々に告白
している『アル中病棟 失踪日記2』(イーストプレス)が
評判となっています。

普段からの飲みすぎが、この休みで拍車がかかったと、心
当たりがある方。
手遅れとならないうちに、ご一読をお勧めします。