戦のない社会 | 店舗探し.comの過去コラム

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2014/1/6

大晦日の紅白歌合戦はご覧になりましたでしょうか?

紅組司会の綾瀬はるかさんが曲紹介では噛みまくったり、
涙で言葉に詰まったりと、周囲がハラハラする展開。

かと思えば、AKB48の大島優子さんが突然の卒業宣言をする
は、初出場の泉谷しげるさんは会場の観客に向かって
「手拍子をやめろ!」と切れてしまうは、と、生放送ならで
はのハプニング続出で、目が離せなかった方も多いことで
しょう。

北島三郎さんが紅白を卒業するとの事前情報や、あまちゃん
出演者が総出演するらしいとの前宣伝もあって、なかなかの
視聴率も稼いだようです。

しかし、私が一番気になったのはもう少し別の場面でした。
審査員の杉良太郎さんに司会者が感想を求めた時のことです。

「うーん、すでにものごく難しいですねえ。いったいどちら
の方がいいのか・・・。」

こんな趣旨のことを、もごもごとおっしゃっていました。
もちろん、紅組と白組どちらの方が勝っているかについて言及
しようとしてのことでしょう。

しかし、まだ必要なんでしょうか、紅白の勝ち負けを決定する
スタイルは?

紅組の松田聖子さんと白組のクリス・ハートさんはデュエット
をしました。
男女混合グループなど、紅組やら白組やら見ていただけでは
さっぱりわかりません。

応援合戦もなく、紅組も白組も、むしろ相手の歌を盛り上げる
ために一役買って出ているシーンもたくさん目撃しました。

以前の紅白歌合戦は、ことさらに男VS女の戦いを煽り立てる
ような作りとなっていました。
紅白どちらが勝利を収めるのかは、視聴者にとっても最大の
関心事でもあったのです。

時代は変わりました。

男女ばかりではなく、争い事を極力回避しようと努力する、
優しい社会が指向されて久しくなっています。

時代を写す鏡としてこれほど象徴的な名物番組の、名前ばかり
が【合戦】などといういかめしい名前を引きずっているから、
審査員も番組構成も紅白の勝負に触れなければならないのです。
『紅白歌合戦』という名前こそが邪魔なのです。

男も女も、老いも若きも、日本も外国も、入り乱れて歌い踊る。
いっそ今年からは『青色歌謡祭』とでも改名したらどうでしょ
うか?

体裁のいい名前は変えないくせに、中身だけを事実上変容させ
てしまうような姑息な風潮を、駆逐するいいきっかけとなるか
もしれません。