忘れ種 | 店舗探し.comの過去コラム

店舗探し.comの過去コラム

会員様向けメルマガに掲載された過去のコラムを掲載しています。

2011/1/28

騎士ルドルフは、ドナウ川の岸辺に咲く花を、恋人ベルタ
のために摘もうと岸を降りたところ、誤って川に落ち、流
れに飲まれてしました。
ルドルフは最後の力を尽くして花を岸に投げると、

「(僕を)忘れないで!」

と叫んで死んでしまいました。
残されたベルタはルドルフの墓にその花を供え、彼の最期
の言葉を花の名にしました。

これは【勿忘草(わすれなぐさ)】の命名由来のエピソー
ドです。

【勿忘草】の花言葉は
  「私を忘れないで」「真実の愛」。

仲の良い兄弟のお母さんが病気で亡くなってしまいました。
二人は丁寧に弔い、晴れの日も雨の日もお墓参りを欠かし
ませんでした。

しかし、働いている兄は、毎日墓参りをするのが難しくな
り、母を亡くした悲しみごと忘れようと、【忘れ草】を墓
前に植えました。
反対に、弟は【ワスレヌクサ】を植え、お母さんを忘れな
いように墓参りを続けました。            

これは「今昔物語」にあるお話です。

【忘れ草(ヤブカンゾウ)】の花言葉は
  「憂いを忘れる」「苦しみからの解放」「一日中美し
   い」。

【ワスレヌクサ(紫苑)】の花言葉は
  「追憶」「君を忘れない」。

嫌なことや辛い出来事は、早く忘れてしまいたいものです。
でも、亡くした大切な人のことは、決して忘れたくありま
せんし、自分のことはいつまでも忘れずに記憶に留めてい
て欲しいものです。

誰でも年を重ねるにしたがって、忘れっぽくなっていきま
す。
しかし、昔の恋人の名前ですらなかなか思い出せなくなっ
ても、恐ろしい出来事や辛い記憶というのは、なかなか忘
れることはできないもので、記憶のコントロールは思うよ
うにはいかないのです。

思うようにいかないからこそ、祈るように花に思いを託す
のですし、思いを遂げるために、あれやこれやの試行錯誤
を続けるのでしょう。

かつて、心配や心の憂さを忘れさせるもののことを【忘れ
種(わすれぐさ)】と言ったそうです。
NHKの深夜ドラマ「恋する日本語」で紹介していました。

【忘れ種】を英訳すると【recreation(レクリエーション
)】となります。

ゴルフ、カラオケ、大人買い・・・。

嫌なことはきれいさっぱり忘れてしまうためにも、たまに
は【忘れ種】となるレクリエーションで、有意義にお過ご
しください。