「今日はどうしました?」
女性看護師を従えた医師が尋ねた。
「みぞおちが痛いのです」
と私は応えた。
「でしょうね。あなたの胸はぽっかりと穴があいていますから」
と医師。
「ちょっと何言ってるかわかんない」と思いつつ私は言った。
「そんなはずないでしょう」
すると医師はどこから用意したのかわからない姿見に、私自身を映すよう促した。
確かに、私の胸にはぽっかり穴があいている。
「どうしたらいいでしょうか?」
「M市のT神社に行くといい」
とこれまた医師は意想外の言葉を口走った。
だから私はM市のT神社に行った。
「M市のK医院の紹介で来たのですが……」
巫女を従えた神主は言った。
「私の手にはおえないから、M市のK医院に行きなさい」
私はただ途方に暮れるだけだった。