映画メモ「彼方のうた」(シネ・ヌーヴォX) | IN THE WIND

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僕が全く知らない監督は「春原さんのうた」という作品がマルセイユ国際映画祭でグランプリなど3冠を獲得したそうだ。普段見ないような映画を見てみようと映画館のサイトの解説と新聞の映画評1本を読んだだけで選んだが、見る者の想象力や感受性が問われるような作品だった。

 

ブックカフェ店員の春が映画制作の教室で学んだり、かつてあったことがある人と再び交わるようになったりする、互いにつながりのないストーリーを交錯させながら静かに物語が進んでゆく。極力セリフを抑え、春の人物像や他の登場人物との関係性は最後まで謎めいたままだ。

 

道を尋ねて親しくなった歳上の雪子とは、家でオムレツづくりを教わったり、バイクに乗せてもらってツーリングに出かけたりする。終盤に雪子が春に声をかけ、抱き寄せる場面が二人の関係性を暗示していそうだが、具体的に語られることはない。

 

一方、春は冴えない中年男の剛を密かに尾行していた。それに気付いた剛が春の職場を訪れ、二人で向き合った歳、春が「中学の時にホームで(会った)」と明かすと、剛がむせび泣くのだが、そこで場面が転換して二人の間に何があったか、やはり最後まで明らかにされない。

 

春は川の流れる音が録音された古いカセットテープを大事に持っていて、どこで録音されたかを探してもいるが、こちらも最後まで謎めいたままで終幕を迎える。春を演じた小川あんの透き通ったような存在感が強く印象に残る。(2023年・日本、監督:杉田協士、84分)

 

【10日の備忘録】

休肝日1日目。朝=ご飯1膳、ベーコンとエリンギのソテー、リンゴ、昼=焼きそば、ミニトマトと茹でブロッコリー、夜=鶏鍋。体重=キロ。