読書メモ「韓国併合」(森万佑子) | IN THE WIND

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21世紀に入って韓国が経済力を伸ばして国際社会での存在感を高める中、日韓関係をめぐっては韓流ブームやK-POP人気といった友好的な一面がある一方、歴史認識をめぐる激しい対立から日本で嫌韓、韓国で反日の風潮が強まって久しい。さらに日本で韓国を植民地支配した歴史への理解が薄らぐ中、本書は韓国併合について基礎的な事実を提供する目的で書かれたという。

 

副題に 大韓帝国の成立から崩壊まで とある通り、本書では併合の過程を日本側の視点だけでなく、1897年に国号を朝鮮から改めて成立した大韓帝国の歴史としても描く。大韓帝国政府による近代化施策や、日本の帝国主義に対抗する外交や義兵運動などの政治史に加え、社会や文化も含めた大韓帝国の歴史を描くことは併合への道程を知ることでもあるからだという。

 

以上のような問題意識のもと、本書は中国の皇帝に冊封された「属国」としての朝鮮王朝の歴史に触れつつ、日清戦争や日露戦争を経て日本が徐々に影響力を強めて併合に至る過程を解説。日韓議定書や三次にわたる日韓協約などといった日韓併合の教科書的な知識をおさらいし、さらに大韓帝国内の事情を知ることで併合への理解を深められる内容と言える。

 

単なる歴史的経緯の叙述だけでなく、併合の正当性をめぐる両国の立場や認識、論争の経緯や現状も盛り込まれているのが有益。主な論点は「批准書がないなど通常の決済過程を得ていない」「高宗皇帝が認めていない」「日本側による強制があった」の3点に集約され、韓国側はこの3点をもって併合は法的に無効、不法だと主張している。

 

さらに、併合は当時アジアで唯一近代化を達成した日本が圧倒的な軍事力を背景に、そして植民地支配による損害に対する財産権・請求権の最終的な解決を取り決めた1965年の国交回復時はアジアでいち早く経済復興を遂げた日本が経済力を背景に、いずれも国力の違いで日本が優位な非対称な関係性の中で結ばれた背景に注意を促す。

 

併合に関わる条約・協定を無効とした日韓基本条約の解釈でも、日本側は韓国の独立宣言(1948年)時点で無効、韓国側は条約・協定の締結自体が無効、と分かれる。元徴用工の慰謝料請求権を認めた韓国大法院判決も植民地支配不法論が論拠だ。歴史的事実や議論の状況を知らずに韓国併合を語るなかれ、そう本書は問いかける。(中公新書)

 

【24日の備忘録】

休肝日2日目。朝=ご飯1膳、塩サバ、リンゴ、昼=ご飯1膳、肉じゃが、ミニトマトと茹でブロッコリー、夜=ベーコンと白菜のスープ。体重=59キロ。