映画メモ「PASSION」 | IN THE WIND

IN THE WIND

自分のための備忘録。音楽とスポーツ観戦、飲み食い、時々本と映画
Don't think twice, It's all right !

(ネタバレあり)

素人女性をキャスティングした5時間を超える大作 ハッピー・アワー (2015年)が海外の映画祭で高く評価された濱口竜介監督。制作に携わる映画人を養成し、「大学発」の映画をプロデュースする国立の映画学校として設立された東京芸大大学院映像研究科の修了作品として制作された。濱口監督はその2期生という。

 

結婚を予定している大学非常勤講師の智也(岡本竜汰)と高校教師の果歩(河井青葉)の同棲カップル、果歩が好きで自分の方が果歩にふさわしいと未練たらたらの健一郎(岡部尚)、もうすぐ第1子が生まれる生真面目な毅(渋川清彦)、この3人の男と親しい貴子(占部房子)。一見、仲が良さそうなアラサー男女の複雑で微妙な人間模様を描いた群像劇。

 

ある晩、果歩の誕生パーティーで智也の過去の浮気が発覚したことから5人の関係が動いていく。その夜、智也ら男3人は貴子の部屋で飲み直したのだが、突如闖入してきた貴子の叔母ハナ(優恵)の発言で健一郎が貴子と関係を持っていたことが判明、かつて貴子とも寝ていた智也は本当は貴子のことが好きだったと自覚する。一方、毅は自由気ままなハナに恋心を抱いてしまう。

 

後日、智也が貴子の部屋で飲んでいたところへ健一郎が訪れ、果歩を大事にしていないと智也を難詰。貴子に追い返された健一郎は智也の部屋に出向き、果歩に智也は別の女の部屋に行っていて帰ってこないと告げる。貴子の部屋には、ハナとのつながりを求める毅も加わり、3人で本音を語り合うゲームを始め、智也と毅は激しく対立する。一方、健一郎は果歩と夜明けまで散歩しながら、愛をささやく。

 

マンションや飲食店の室内での対話シーンが大半で、映像的なダイナミックさはないけれど、よく練られたセリフによって静かに進んでいく物語にいつのまにか没頭させられていた。男女5人の狭い狭い世界で繰り広げられる、言葉と感情の衝突によって、制御できない色恋に囚われる男女の心情や苦悩をすくい取る。依存的な果歩に別れを告げたばかりの智也がすぐに舞い戻ってきたラストシーンは、どういう意図だったのだろうか。(監督・濱口竜介、2008年日本、115分)

 

【14日の備忘録】

朝=ご飯1膳、カレー風味肉じゃが、昼=幕の内弁当。飲酒=赤ワイン5杯。体重=64.4キロ。