Ms.福子の境界線3
Ms.福子の境界線2
よく思う。
最近は特にそのことが頭を離れてくれないのよね。
マジコさんかおばさん、あるいはおじさんが戸を開けた瞬間
するりと横をすりぬけて外に飛び出す。そして、あのどんぐり
の木に鋭い爪をつきたてて駆け登り、それからブロック塀に
ひらりと飛び移り、そして、それから・・・・・そうブロック塀に
続く切り立ったがけをよじ登り、よじ登り・・・・深い深い森へと
入っていったのよ。そんなふうなことを空想してしまうわけ。
くりかえしくりかえし思いをなぞっているとそれがもう事実の
ように思えだし、さらに自分がまるでテンになってしまったよう
な・・・・。これってわりと危険思想?
ふとわれに返ると私はマジコさんのふかふかのふとんの上に
ながながとねそべているという・・・・・。テンはこんなふかふか
のふとんがなぜ捨てられたのかしら。出て行くどんな理由が
Ms.福子の境界線
これがずっと気になっていたのね。その気がかりがやっと解明
できたわ。というか、私がわかる年頃になったということかしら。
この写真に写っている、なんとも言いがたい色模様をした猫。
これは、私がここに来る前にいた猫で、どうやら家出しちゃった
らしいのね。マジコさんとおばさんの会話の中でよく「テンちゃん」
という言葉が出てきていたのはこの猫のことだったというわけ。
そしてこのテンちゃんについて話す内容はいつもいっしょ。もう
ソラで言えるわ。
「テンちゃんは一度ダメといわれると二度としなかった。」
「テンちゃんは頭がよかった。」
「テンちゃんは運動神経がとても発達していた。」
「テンちゃんは用心深いこだった。」
「テンちゃんは人に馴れにくいこだった。」
テンちゃんは、テンちゃんは・・・・・・・。そして結論。
「だから家出したんだよ。」
「うんうん、頭が悪くて、どんくさいのが一番。」
これって・・・・・・なんか不満。とても不満。











