hidokoさんのブログ
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Ms.福子の境界線3

テンという猫が入っていった裏の森でテンはどんな暮らしを

しているのかしら。大きな大きな樫の木や椎の木にかけのぼ

りかけおり、あつく積もった枯れ葉にくるまって眠り

おなかがすいたらその枯れ葉の下にうずくまる虫を食べ

だれにも邪魔されず自由に自由に・・・・・。

マジコさんの家の裏庭に続く道は、はるかかなたに消え・・・・

けれど、気をおつけ。あの森にはカラスという先住者がいるはず。

私がこの家にきて以来カラスの鳴き声を聞かない日はないもの。

そのカラスにとってテンは侵入者よ。歓迎はされないわ。テンの

すぐれた知恵と勇気と体力で切り抜けて!




 私はうすいうすいガラス一枚でたちきられた果てしない外の

 世界をながめながら、こうして日々を重ねていくのね。


Ms.福子の境界線2







このところ、写真でしか知らないテンという猫のことを

よく思う。

最近は特にそのことが頭を離れてくれないのよね。

マジコさんかおばさん、あるいはおじさんが戸を開けた瞬間

するりと横をすりぬけて外に飛び出す。そして、あのどんぐり

の木に鋭い爪をつきたてて駆け登り、それからブロック塀に

ひらりと飛び移り、そして、それから・・・・・そうブロック塀に

続く切り立ったがけをよじ登り、よじ登り・・・・深い深い森へと

入っていったのよ。そんなふうなことを空想してしまうわけ。

くりかえしくりかえし思いをなぞっているとそれがもう事実の

ように思えだし、さらに自分がまるでテンになってしまったよう

な・・・・。これってわりと危険思想?

ふとわれに返ると私はマジコさんのふかふかのふとんの上に

ながながとねそべているという・・・・・。テンはこんなふかふか

のふとんがなぜ捨てられたのかしら。出て行くどんな理由が

あったのかしら。

Ms.福子の境界線






テレビとか本箱の上にたてかけられたおびただしい写真の数々。

これがずっと気になっていたのね。その気がかりがやっと解明

できたわ。というか、私がわかる年頃になったということかしら。

この写真に写っている、なんとも言いがたい色模様をした猫。

これは、私がここに来る前にいた猫で、どうやら家出しちゃった

らしいのね。マジコさんとおばさんの会話の中でよく「テンちゃん」

という言葉が出てきていたのはこの猫のことだったというわけ。

そしてこのテンちゃんについて話す内容はいつもいっしょ。もう

ソラで言えるわ。

「テンちゃんは一度ダメといわれると二度としなかった。」

「テンちゃんは頭がよかった。」

「テンちゃんは運動神経がとても発達していた。」

「テンちゃんは用心深いこだった。」

「テンちゃんは人に馴れにくいこだった。」

テンちゃんは、テンちゃんは・・・・・・・。そして結論。

「だから家出したんだよ。」

「うんうん、頭が悪くて、どんくさいのが一番。」

これって・・・・・・なんか不満。とても不満。

ふっちゃんが一番というマジコさんの声が遠のく感じ。


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