Ms.福子の日々
たぶんこの日あたりが私の1歳の誕生日のはずだから。
そして、私がマジコさんにひきとられて約8ヶ月目。
なんておおざっぱな出自。でもしかたないのよ、ノラの子
なんだから。でもそんなこと、とうに乗り越えているわよ。
ノラの子だろうとそうでなかろうと大して違いはないもの。
猫は猫よ。そしておやじわっかがあろうと無かろうともう、
そんなの気にならない。自分が気にするほどまわりは気
にしていないということがわかったもの。そのことがわか
るまでずいぶん長い道のりだったわね。
でもまあこうして写真を見せられるとさすがに私も、
「うーむ。」といわざるをえないわね。
マジコさんったら、
「キャー、超かわいいっ!」
だって。ほんと?かな。
Ms.福子の観察眼
どうして私が3ヶ月あまりも動物病院で暮らさなければならなかったのか、それはこのおやじわっかのせいなのよね。それがお口のまわりにあるばっかりに私は他の3姉妹からどんどんおいてけぼりをくったわけよ。つぎは私かしら、こんどこそ私、と、はかない希望。赤毛のアンになった気分 だったわね。今でもあのころのことを思い出すと胸がちくち くするわ。飼い主が決まって次々去っていく姉妹が去り際にかならず私に言うの。
「このおやじわっかさえなかったらあんたは極上の美猫よ。」
「下向いてたらおやじわっかはみえないよ。」
・・・・・
けど、残り物にもいいことだってめぐってくるものよ。完全なる幸せとは言いがたいけれど、まあなんとか主さんにかわいがってもらってるって気がするし、それだけでもよかったかなって。
主さんの名前はグロー球マジコ。これは私がかってにつけたの。深夜の病院て薄暗いのよ。ほんのぽっちりしたグロー球のオレンジ色の明かりがついているだけって感じだもの。主さんの髪の色を見たときなぜかそのことを思い出したのね。これって、結構私の心の傷?でも病院では、別にいじめられたわけでも無視されたわけでもないしね。看護士さんとかセンセイもかわいがってくれたもの。だから私の3ヶ月あまりの病院での日々は決して悪いものではなかったと思うのね。ま、私のちょっとしたギャグだと受け取ってもらえるとうれしい。マジコ、これは、そう、おさっしのとおりよ。すぐマジデーって黄色い声で叫んじゃうのね。で、そばにたいてい、いるおばさんが、うんマジで、うん、マジでってあいずちをうつわけよ。
「今日さあ、お買い物の帰り、たばこやさんのところに黒白のねこがいたよう。」
「マジでえー。」
「うん、まじで。」
「今晩のごはんはカツどんにするよ。」
「マジでえー。」
「うん、マジで。」
プウー。ふいちゃうよねー。私でさえもっとたくさんことばをしってるのに。でもこれで通い合うものがあるのだろうし、私がとやかく言うこともないよね。
