(『人間革命』第11巻より編集)
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〈大阪〉 27
戸田城聖は、叫ぶように言った。
「仏法の勝負は厳しいぞ!やがて、すべては明確になる。学会に敵対するならば、いかなる者であれ、大聖人様が許しませんよ。
その確信がなければ、学会の会長なんてできません。まぁ、ゆっくり見ていてごらんなさい。
それにしても、自分から学会を出ていくなんて、あまりにも愚かなことです。あとで、どんなに悔やんでも、悔やみきれん。
上役と喧嘩して会社を辞めても、収入の道が断たれるだけで、その苦しみは一時的なものです。
しかし、学会に敵対したら、そうはいかんよ。生々世々にわたって、福運の道を断ち、苦しみ抜かねばなりません。
私は、それがかわいそうでならない。だから、今、そのことを教えておきたい」
戸田の厳たる指導は、参加者の心に、熱き信心の闘魂を燃え上がらせていった。
やがて、質問会は終わった。
戸田城聖は、辛労と暑さのために疲労していたが、壇上に上がった彼は、はつらつとしていた。
人びとに、なんの不安も感じさせなかった。大会は、笑いを交えながらも、凛として戦いに挑む戸田の熱情につつまれていた。
東京大会に集った四万人の会員は、頬を上気させ、今、権力への戦いを開始しようとしていた。
学会に降りかかった大難に、真正面から体当たりする決意と信念から生じた戸田の気迫が、同志の胸に響き渡り、義憤となって燃え上がったのである。
蔵前国技館で東京大会を終えた戸田城聖は、自ら大阪地検に乗り込むことを決意していた。
彼は、青年部の幹部を伴い、大阪に行くと、関西総支部長の春木征一郎らと共に、検事正に面会を求めた。