(『人間革命』第11巻より編集)
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〈大阪〉 26
「百法隠没(びゃくほうおんもつ:末法の時代に、仏法のうちで論争が激しくなり、釈尊の正しい教えが滅びて功力がなくなる)というが、
釈尊の仏法だけでなく、日蓮大聖人の仏法も、七百年にして、まさに隠没せんとしていたんです。
しかし、牧口先生によって、大聖人の御精神は守られ、学会によって、大聖人の仏法は再び隆昌した。
実に不思議なことです。
大聖人が、創価学会を召し出されたのでありましょう。
将来のためにも、はっきり断言しておきます。この学会の信心以外に、大聖人の御心に適う信心などありません。
御本尊の本当の功力もありません」
戸田の声は、烈烈たる確信に満ちていた。
「その学会から除名される。かわいそうといえば、これほどかわいそうなことはない。
創価学会に入れたということは、偉大なる功徳、福運によって仏意仏勅を賜り、地涌の菩薩として、この世に出現したということです。
しかるに、除名になるということは、その尊い使命を失うことにほかならない。それは、いつか、必ずわかる」
場内は、張りつめた空気につつまれていた。
皆、息をのんで戸田の次の言葉を待った。
「この前、あるところで、一人の班長が妙な野心を起こして、無知な会員を巻き込んで、向こうから学会脱退を申し込んできた。
その時に、私は言ってやった。脱退もよろしい。ただし三年後を見ようじゃないか、と。
三年後の向こうの状態を調べてごらんなさい。
仏法は勝負だよ」