彼女は、目の覚める思いで、建築士と教員の、はつらつたる熱情込めた話に聞き入った | くにゆきのブログ

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今、自分が感動したこと、また知っていただきたいことを、主に記していこうと思います。

     (『人間革命』第10巻より編集)

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         〈脈動〉 25

 

 ひでと良彦が、三度目の座談会に誘われたのは、昭和二十八年、大阪方面の二回目の夏季指導の真っ最中で、本部派遣の幹部が大挙して来阪し、尊い汗を流していた時である。

 

 この日の座談会には、派遣員の二人の東京の幹部が出席して、いつにない活気にあふれていた。

 

 一人は、壮年の建築士で、もう一人は、小学校の教員という、若い未婚の女性であった。

 

 二人は、仏教各派の誤りを正した日蓮大聖人の四箇の格言から話始めた。

 

 ひでは鋭く耳を澄ました。宗教が、幸・不幸を決定づけるという理路整然たる仏法哲理は、彼女のこれまでの人生で、夢にも考え及ばなかったことである。

 

 彼女は、わが家の実態を思い起こした。

 

 ”生真面目一方で、何事にも積極性というものを全く失っている夫、出来はよいが虚弱体質の一子・良彦、わが家の幸福の基盤は、いつ崩れるかわからないー ”

 

 常日ごろの、彼女の漠然とした不安は、宗教に起因しているかもしれないと気づいた。

 

 彼女は、目の覚める思いで、建築士と教員の、はつらつたる熱情を込めた話に聞き入った。

 

 良彦は、確たる仏法哲理に、反論の余地はなく、素直に入会を希望してしまった

 

 「あかん、あかん」

 

 ひでは、とっさに、良彦の腕をつついて、ささやいた。

 

 「そんなに簡単に、信心する言うたらあかんで・・・父さんにも相談せなあかんで」

 

 「ええやないか、ぼくだけやってみるさかい・・・。よかったら、母さんもやったらええ」

 

 良彦は、既に一人の成人であった。

 

 

 

 

 

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