(『人間革命』第10巻より編集)
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〈脈動〉 13
彼らは、御本尊を朝晩ちゃんと拝み、多くの人びとに御本尊の存在を教え、そして真面目に商売に励むという、日々の生活実践を、着々と貫きさえすればよいということに、確信をもった。
懐疑の雲は払われて、もはや迷いはなくなった。
大阪の会員は、自らの意志で、力強い弘教の歩みを、この時から始めたのである。
座談会も、その他の会合も、地に着いた。確信ある実践の誓いの場となった。
会員一人ひとりが、無疑曰信(むぎわっしん:心に疑いのない状態を信という)という利剣をもって、
「不信」の壁を突き破った先には、ひたむきな実践の場として、大阪の天地が、眼前に広がっていた。
彼らは武者震いをし、勇んで、この広野に挑戦の歩みを、足並みそろえて踏み出したのである。
創価学会は、この年の七月に予定されている参議院議員選挙の候補者六人を推薦していたことから、三月に入ると、もう一つの慌ただしさを加えていった。
日本列島を、会員の分布の濃淡に合わせて四区分し、・・・。
戸田城聖が、各方面の責任者に終始一貫して指導したことは、あくまでも信心の浸透によって、社会建設の使命を自覚させ、各人の湧き上がる自発的な熱意で、選挙戦を勝ち取るということであった。
これが勝利の唯一の道であり、この根本の信条を絶対に忘れてはならないと、固く戒めていた。
戸田は、世間の通念に毒されている選挙戦術なるものを嫌い、会員の信心による自覚を促すことに徹したのである。
その一方、組織に生じやすい官僚主義で、会員を睥睨し、活動を強制するようなこととなったら、戦いに敗れるだけでなく、
学会の組織そのものを破壊するにいたることを憂慮して、厳しい指示を与えていた。
明けましておめでとうございます。